金融機関の融資形態にはどのようなものがあるか。
松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。
目次
融資形態を知っておく
融資形態を知っておくことで、銀行との話もスムーズに進めることができますし、銀行が何を意図して勧めてくれているのかも理解できるようになります。
融資形態いろいろ
手形貸付
- 短期融資に使われる
- 期日は”1・3・6・12ヶ月以内”になっていることが多い
- 運転資金・賞与資金・納税資金・季節資金など
- 手形が使われる(=焦げ付いた場合には手形法の適用により、銀行取引停止処分)
- 利息は実行時に一括で差し引かれる
- 短コロ(折り返し続けることで更新し続ける)が最近推奨されている
- 短コロのメリット:毎月の返済がなく、資金繰りが楽になる
- 短コロのデメリット:銀行が更新してくれるとは限らない(貸し剥がしリスクあり)
証書貸付
- 長期融資に使われる
- 運転資金・設備資金など
- 分割返済がほとんど
- 利息は毎月支払う
手形割引
- 受取手形を早期資金化してくれる
- 利率(割引料)は高め
- 優良会社が振出人となっている手形はリスクがないので、進んで割引してくれる
- 手形の電子化(でんさい)が進んでいる
当座貸越契約
- 審査が厳しい(設定してもらえれば、逆に他行に対しても信用度が上がる)
- 極度額を設定し、極度額の範囲内であれば出し入れ自由
- 主に不動産に対して根抵当権で極度額を設定する
- 極度額に応じた設定手数料・残高の応じた金利を支払う
- 短コロと同じで毎月の返済なく、資金繰りは楽になる
- 手形貸付のような更新拒否リスクはない
- 証書貸付のような”分割返済する権利”は曖昧(=経営状態悪くなると取引解除されるリスクあり)
社債
- 審査が厳しい(設定してもらえれば、逆に他行に対しても信用度が上がる)
- 銀行引き受け少人数私募債
- 一般的には、3年~5年後の一括返済(ごくまれに分割返済)
- 利息は、半年・1年ごとになっている場合が多い
- 社債発行手数料・保証料を支払う
- 最近は、証書貸付と同じくらいのコスト(費用)になってきている