銀行の融資審査がどのような流れで行われるか知っておきたいところです。
松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。
融資審査の流れ
融資審査は、基本的に、以下のような流れで行われます。
第2次評価:定性分析
定性分析(決算書の数字などでは拾えない情報の分析)では、どのような点がポイントとなるのか。
- 主要な取引先に安定した大手企業が入っている
- 評価の厳しい銀行が取引銀行に含まれている
- 業界自体が斜陽産業でないか
- 決算書に、ノンバンク(銀行系リース会社や割賦以外)が入っていないか
- 代表者の資産状況はどうか
- 役員報酬はどうか
- 個人の信用情報は良好か(税金、クレカ、公共料金、携帯代の滞納がないか)
さらに、定性的な情報の何にどのように重きを置くかどうかは、銀行によっても、同じ銀行でも支店長・担当者によっても変わるといわれています。
銀行によって異なる点は理解しやすいですが、同じ銀行でも支店長や担当が変わると変わるのだという点も理解しておきたいところです。
特に、以下のような事項は評価が分かれる・変わりやすいといわれています。
- 返済実績
- 返済原資
- 利益
- 手元資金
- 保有資産
- 担保
- 主要取引先
- 取引銀行
- 年商
- 将来性
- 業界動向
- 技術力
第3次評価:実態評価
実態評価では、決算書の記載内容・項目を精査し、より実態に即したものに読み替えるという工程です。
売上債権
回収不能なものが含まれている場合、資産からマイナスして考えます。
勘定科目内訳書などを見ながら何年も同額で計上されるなどしている場合、”回収不能となっている”と判断されることがあります。
在庫(商品・製品)
販売不能なもの(陳腐化等)が含まれている場合や盗難等で現物がすでにない場合など、資産からマイナスして考えます。
仮払金・貸付金・立替金
内容不明な支出であることを示す仮払金や経営者に対する貸付金・立替金などは、回収不能なものとして、資産からマイナスして考えます。
固定資産
土地、ゴルフ会員権、リゾート会員権などで時価と比較して含み損があると考えられる場合、資産からマイナスして考えます。
減価償却
減価償却は税務上は任意であっても、融資審査においては減価償却は必須なものとして考えられているため、償却不足が生じている場合などはその点を加味されます。
経常損益と特別損益
融資審査において重要なのは返済能力であり、その返済能力は会社の”経常損益”を源泉としています。
よって、本来、特別損益に表示すべきものが経常損益の項目に表示されている場合、それを修正して考えることになります。