銀行とのスタンス②

銀行との関係を円滑にするには、銀行の立場・心情・行動原理を知ることから逆算して考えていくのがよいと思われます。

松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。

目次

銀行とはいつ会うのがベターか

そもそも銀行と会うタイミングはいつがベターなのか。

”借りたいときに会う”でよいのかどうか。

銀行の立場になってみるとよく分かるのですが、相手が借りたいときに会いに来るということは”お金に困っている状態”、つまり、”返済能力が弱まっている状態”ともいえますので、警戒することになります。

では、”借りたいとき”ではないとしたら、いつが適切なのか。

さりげないタイミングとしては「決算報告」であるといえます。さらに、準じて、「半期」「四半期」というタイミングです。

決算報告であれば区切りなので、さりげなく、かつ、銀行にとっても関心の高いタイミングです。

決算書をはじめ、前期比較、月次推移、取引先別などの補助科目別もあると望ましいと考えられます。

また、その際には、”借りたい”といわずに、「よい提案があればお願いします。」と伝えることもその後の交渉のスムーズさも考える限り、ポイントといえます。

銀行から見られ方の目安を知っておく

自社は銀行からどのように見られているのだろうかということを知っておくことで、適度な姿勢で話すこともできます。

実質無借金の状態手元資金が債務を超過
借入の15%以上の経常黒字
営業キャッシュフローが融資返済額を上回っている
手元資金:月商の3ヶ月程度
とてもよく見られる
(プロパーでの交渉可能)
資産超過+大きく経常黒字の状態手元資金+換金可能資産ですでに債務を超過
借入の3%以上の計上黒字
営業キャッシュフローがプラスで、ほぼ融資返済していける
手元資金:月商の2ヶ月程度
よく見られる
(プロパーでの交渉可能)
資産超過+少し経常黒字の状態時価ベースで資産超過
毎期黒字
営業キャッシュフローがプラスで、ほぼ融資返済していける
手元資金:月商の1ヶ月程度
賞与・納税などのときには資金繰り不安定になってしまう
まずまずよく見られる
(保証協会付融資が基本)
債務超過の状態簿価ベースでは資産超過だが、時価ベースでは債務超過
黒字と赤字を行ったり来たり
前期は黒字
返済より新規借入が多く、融資残高が減っていない
手元資金:ぎりぎり
保証協会の枠が空く度に融資を申し込んでいる状態
あまりよく見られない
(借入の維持がやっと)

相性の合わない銀行には、こだわらない

自社にとって”相性のよい銀行”とはどのような銀行か。

それは、快く借入れに応じてくれる銀行であるといえます。そのような銀行は、自社を「積極方針先」に分類していると考えられるためです。

ただし、銀行は、銀行ごと・支店長ごと・担当ごとに刻々と方針が変わるため、同じ銀行が同じ相性とは限らない点には留意が必要といえます。そのような意味でも、複数の金融機関との取引を持っておきたいところです。

まして、銀行との面談を申し込んだ際に難色を示されるような場合には、銀行側で、その会社を「消極方針先」「現状維持方針先」などと分類している可能性があります。

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