業績低迷期は、銀行との関係性において、どのような点に留意すべきか。
松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。
目次
”リスケジュール”の交渉を考える
資金繰りが厳しく、銀行からの新規融資も難しい場合、「リスケジュール」の交渉を考えることになります。
「リスケジュール」とは、”借入金の返済条件変更”のことですが、銀行からすると”当初の契約条件の見直し”を意味するため、”リスケジュール”は大きな出来事でもあり、安易に交渉する前に、以下の点を確認しておきたいところです。
- 本当に新規融資は難しいのか
- 新規融資を受けたとしても、1年以内に資金が枯渇する見込みになる
リスケ交渉の注意点
- 1年以内に融資した銀行は難色を示すことが多い(本部掛け合いが必要になるため)
- すぐに応じてくれるとは限らないため、余裕をもって打診する
- まずはメイン銀行に交渉する
- メイン銀行がリスケに了承することで、他銀行も了承する流れができてくる
- 当初契約の変更(当初約束の変更)をお願いすることなので、丁重に話す
- リスケは、融資を受けている全金融機関の了承が必要
- すべての銀行に平等な条件であることが前提
(特定の銀行だけに担保・金利引上げ等に応じると、他銀行が不平等を理由に了承しなくなる) - 新規融資とリスケと、どちらが支援しやすいかを最終調整してもらう場にもなる
- 全金融機関と話すには、バンクミーティングを開催することもある
- 再生支援協議会・経営改善支援センターなどが入ることもある
- 法的整理以外で、銀行が債権放棄することはまずない(優良事業譲渡&債務免除は現実的ではない)
- 向こう1年間、返済ゼロが交渉の土台になる(再度の変更は認められない)ため、返済できる最下限を考えて提示する
- 少額でも返済していく場合、全行一律(融資残高比例)でそれぞれに返済することになる
- リスケ中は、毎月、銀行に報告に行く(計画との比較の要因を説明する)
- リスケは向こう1年が基本だが、十分に手元資金が貯まるまでは継続をお願いすることになる
リスケ終了時の注意点
- 債務超過が解消し、キャッシュフローが改善したと見込まれる場合に、リスケ終了となる(通常返済に戻す)
- 折り返し融資が見込めないと苦しいため、その可能性も相談しながら終了に持っていく