自社を中心に周りが回っていると思い込んでいないか、時々考えてみたいところです。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
経営における天動説・地動説
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)の表現で、最も印象的なものの一つが、
「天動説の経営」「地動説の経営」という言葉です。
意味合いはシンプルです。
天動説の経営→自社を中心に、周囲(お客様など)が回っているという状態
地動説の経営→お客様を中心に、自社がその周囲を回っているという状態
経営者が現場から離れていけば離れていくほど、”天動説の経営”に陥りがちになるので、そのようになっていないかどうか時々セルフチェックしていきたいところです。
”天動説の経営”の弊害
”天動説の経営”の弊害とは、具体的に何でしょうか?
- 自分は悪くない(自分が考えた事業がうまくいかないわけがない)と思い込む
- 営業が悪い・売り方が悪い、と従業員を責めてしまう
- お客さまが良さを理解していない、と結論づけてしまう
従業員は、お客様と直接接する機会が多ければ多いポジションであればあるほど、お客様目線をある程度把握していることが多いものです。
しかし、自身の給与はあくまで会社から出るので、お客様と接しながらも、経営者や上司を見て仕事をします。
自身の利益を最大化する(給与を増やす)には、というインセンティブで働いている以上、ある意味では当然の姿勢ともいえます。
仮に、会社の経営理念に”お客様・社会を中心に考える”といった言葉があったとしても、従業員はあくまで”経営者の言葉と行動”を見て、本音がどこにあるかということをよく観察しています。
会社の経営理念がどうであれ、現実面での人事権・評価・給与額は、経営者が握っているからです。
何を中心に据えるか
上記のように考えると、会社の未来のことを考えるべき立場にある存在は、経営者ただ一人といっても言い過ぎではないようにも思えます。
経営者が最もお客様のことを知っていて、その要望を従業員よりも把握しているような状態でなければ、会社組織はうまく機能しない仕組みになっている、と言い換えることもできます。
”天動説の経営”には弊害がありますし、あくまでお客様を中心に自社が周っているという”地動説の経営”という感覚を持つ必要を感じます。
そのためには、経営者は、積極的にお客様と接する現場に出て、誰よりもお客様の表情・要望・ニーズを把握しておきたいところです。