会社の財務状態を見る際には、固定資産の状況についても定期的に確認したいところです。
井上和弘著「社内埋蔵金をお金にする知恵」(中経出版)を参考として。
減価償却費
減価償却とは
減価償却とは、設備投資などの費用を一定期間に配分する会計処理のことをいいます。
すべてを単純に”支出=経費”、としてしまった場合、毎期おおむね同じ程度の利益の会社のA社とB社があるとして、A社がその期にたまたま大規模設備投資をしたばかりに大赤字の決算になってしまう、ということもあり得ます。
となると、稼ぐ力は同じはずなのに、そのことによってによって、外部(銀行、投資家)からの評価に差が出てしまうということにもなってしまいます。
そのため、設備投資については、単純に”支出=経費”にはせずに、設備という性質上、長期間使っていくであろう点に着目し、一定期間にわたって少しずつ分割で経費にしていくという会計処理を取っていくことになっています。
減価償却費は特殊な性質
大体の経費は”支出=経費”であるということからすると、「減価償却費」という経費は、経費のなかでも少し特殊な性質のものといえます。
そのため、「お金の動き・残高」を見る際には、会社の「利益」をベースとしつつ、この「減価償却費」という経費は利益にまたいったん戻して考えることになります。
手放しでお得な経費というわけではない
一見、「減価償却費」は、”お金が出ていかないのに経費にできるお得なもの”というように見えるかもしれませんが、よくよく考えてみると分かるとおり、”一番最初にお金を支出しており、そのときには全額経費にはできなかった”という事情と表裏一体の関係にあります。
借入していれば、借入元本返済とセットで考える
その設備投資を銀行借入によって行っているのであれば、分割で元本返済しています。会社の「利益」には、この借入の元本返済は経費として計上されていないため、「お金の動き・残高」を見る際には、この「元本返済」という項目は、利益から追加で差し引いて考えることになります。
そのため、設備投資を銀行借入によって行っている場合、「減価償却費」と「借入元本返済」という項目は利益に対してプラスすべきもの・追加でマイナスにすべきもの、という意味においてワンセットで考えたいところです。
固定資産台帳を定期的に確認する
会社には、固定資産をまとめた固定資産台帳(固定資産リスト)があります。
ときにこの台帳に目を通し、「本当にこれらすべての固定資産を、利益を稼ぐためにしっかりと活用できているか?」と自問自答してみると、気づきが出ることがあります。
遊んでいる固定資産があるようであれば、売却することで換金するという選択肢もありますし、処分することで特別損失を計上(=節税という形で支出を減らす)するという選択肢もあります。
- 1年以上、遊休状態となっていないか
- 風雨・事故等で損傷し、使用できなくなっていないか
コストパフォーマンスを考える
「設備」は、購入してしまうとその後のことを考えなかったりします。
しかしながら、そもそもその設備投資をしようと決断したのは、「その設備があることによって、自社に、投下した資金以上の資金をもたらしてくれる・利益を生んでくれる」と考えたからに違いなく、購入する時だけではなく、購入後も定期的にそのチェックを行っていくことが重要であるといえます。