「物」は「お金」が姿を変えた形と考えると、粗末に扱ってはいけないものだと気付かされます。
井上和弘著「社内埋蔵金をお金にする知恵」(中経出版)を参考として。
「物」は「お金」が姿を変えた形
「物」は、「お金」を出すことで(「お金」と交換することで)、手元に置いておくことができます。
いわば、「お金」が姿を変えた形といえます。
井上和弘著「社内埋蔵金をお金にする知恵」(中経出版)で印象的だった考え方があります。
たとえ1円の紙きれであれ、5円のクリップであれ、10円の封筒であれ、「物」はおカネが変化したものです。もし貨幣として目の前にあれば、1円玉ですらゴミ箱に捨てる人は誰もいないでしょう。
井上和弘著「社内埋蔵金をお金にする知恵」(中経出版)より
まさにその通りで、「物」は「お金」が姿を変えた形だ、と考えると、お金は1円たりとも捨てないのが通常である以上、物も同じように考えたいところです。
”損切り”も選択肢に入れる
ひとことで「在庫」といっても、性格は様々です。
原材料・資材は、まだ自社商品としての価値がないものです。
仕掛品は、もう少しで自社商品としての価値を持つものですが、まだ動かすことができないものです。
商品・製品は、自社商品としての価値を持つもので、今すぐにでも売却して「お金」にすることが可能なものです。
資金繰りが悪いと感じたときには、上記の「在庫」に目を向けていきたいところです。
外部からの借入を検討する前にまず自社でできることとして、「在庫」を見直すこと、が挙げられます。
- メーカーに返品できないか
→判断は早ければ早いほど可能性が高い - 値引して売るか
→少しでもお金になる。仮に損失が出ても節税という形で資金繰り改善に繋がる。 - 廃棄処分するか
→損失が出ても節税という形で資金繰り改善に繋がる。
今後また売れるかもしれないから、、と漠然と考えてしまっていてこれらの判断ができずにいると、無軌道に在庫は膨らみ、それはいわば「お金」が積み上がっているのと同じことなので、当然、資金繰りは悪化してしまいます。
実際の在庫を見て、返品・値引販売・廃棄処分などの判断を進めていくことで、物の滞留による資金の滞留を軽減していくことができます。
営業、製造、仕入の情報共有
「在庫」とは、社内の様々な立場の人の利害が絡み合うものです。
営業には営業の考え方があり、製造には製造の考え方があり、仕入部には仕入部の考え方があります。
「在庫管理」はいわば上記の様々な異なる立場の考え方の交錯地点ともいえるので、いかに客観的な数値でもって適切な情報共有の体制が構築できるかがポイントになると思われます。
これには、トップが実際に在庫を見ることも重要であるといえます。
社内の様々な立場の人の利害を調整し、会社としての最終的な経営判断をすることがトップの役割であり、経営者である限りそこから決して逃れることはできないものと思われます。