従業員1人あたりの粗利益を多くするために着目したいこととして、「時間の使い方」があります。
竹田陽一著「小さな会社★社長のルール ランチェスター経営成功への実践手法」(フォレスト出版) を参考として。
「利益」を多く残すには
会社のお金の流れで確認
売上や粗利益を増やすために奔走したとしても、それがより「利益」が多くなる方向性でなくては、せっかくの頑張りが報われません。
このことを、一度お金のブロックパズルで見てみます。
会社が存続し、発展していくためには、「利益」が必要です。
この「利益」を原資として、①税金を納付し、②借入金元本を返済し、③将来の設備投資の積立などをすることになります。
そこまで考慮してはじめて、根本的に、会社のお金が増えていくかどうかが決まってくるということになります。
「利益」を多くするには?
上記のお金のブロックパズルを見た上で、「利益」を多くするには?と、まずは大まかに考えてみると、以下の視点・方向性が考えられます。
- 「粗利」を増やす
- 「固定費(人件費)」はできるだけ維持する
- 「固定費(その他)」を減らす
このとき、「固定費(人件費)」を減らすという視点・方向性に関しては非常に慎重になるべき、ということはいうまでもありません。
なぜなら、「粗利」の維持・拡大を担っているのは、”人”だからです。
安易に「固定費(人件費)」を減らすと短期的には利益は大きくなりますが、その少し先のことを想像してみると、「粗利」の拡大が見込めないどころか、維持することすら難しくなってしまいます。
個別にできることを考える
それぞれ個別にできることは考えられます。
例えば、「粗利」を増やすためには、①粗利率が上がるための試みを考える、②売上を増やすために数量の拡大を考える、③一度お取引のあったお客様に繰り返し利用してもらえるような努力・仕組みを考える、などです。
ほかにも、「固定費(その他)」を減らすために、地道に経費の節約をするなどといったことも考えられます。
”時間”に着目
「固定費(人件費)」を維持し、「粗利」を増やし、「固定費(その他)」を減らす
「固定費(人件費)」を維持し、「粗利」を増やし、「固定費(その他)」を減らす。
これらを同時に解決することができる、大きな流れとなる視点があります。
それは 「労働生産性を上げる」という視点です。
ここでいう「労働生産性を上げる」を、より具体的な言葉に噛み砕いて表現すると、
”従業員1人あたりの「粗利」を増やすには”
と表現することができます。
キーとなるのは”時間の使い方”
「粗利」の源は、すなわち、”お客様からのお金”です。
つまり、「粗利」を増やすには、「お客様との接点の部分を改善する」という視点が必要と考えることができます。
会社内で、お客様との接点の部分を担当しているといえば、営業担当者です。
営業担当者の”時間の使い方”を改めて見直してみることで、労働生産性を上げるための鍵を見出すことが可能となります。
時間の使い方の比率の可視化と改善
”時間の使い道”の可視化
営業担当者の時間の使い方を大まかに考えてみると、以下の3つのカテゴリーに分けることができます。
お客様対応の時間
移動時間
社内業務の時間
このなかで、 お客様と接したり、自社商品に関する情報を集めたりする「お客様対応の時間」こそが、直接的に粗利の最大化に貢献しています。
その「お客様対応の時間」に対して、”質的な意味での見直し”、”量的な意味での改善”の余地を探ることで、 ”従業員1人あたりの「粗利」を増やすという道を探っていくことができそうです。
同時に、そのほかの時間である「移動時間」と「社内業務の時間」についても見直す余地があります。
- まとめて回ることができないか
- 営業エリアを絞るか 等
- 1/3を上回っていないか
- 本当に営業担当者でないできない業務か(社内スタッフで代替できないか)
- 無駄な会議がないか
- 不要なセミナーに参加させていないか(経営者が担当すべき”戦略”に関するセミナーに参加させていないか) 等
「粗利」を増やすとともに、「固定費(その他)」削減にも繋がる
これらを見直すことで、自然と 「固定費(その他)」を減らすということにも繋がってきます。
交通費やガソリン代の削減にも繋がりますし、誰が参加すべきセミナーなのかを見直すことでコストパフォーマンスを改善することができます。