孫子の兵法”戦わずして勝つ”。具体的に、どのように考えればよいか。
佐藤義典著「実践マーケティング戦略」(日本能率協会マネジメントセンター)を参考として。
戦わずして勝つには、勝てる場所で戦う
孫子の兵法のなかの孫氏の教えに、以下のようなものがあります。
「戦わずして勝つ」
様々な解釈が成り立ちえますが、佐藤義典著「実践マーケティング戦略」(日本能率協会マネジメントセンター)では、以下のように解釈されてます。
「勝ちやすい戦場(=できるだけ敵のいない戦場)を選ぶ」
戦う”場所”は、顧客の頭の中にしかない
では、戦う場所(戦場)はどのように選ぶか。
これは、最終的には、「顧客の頭の中」にあります。
自分だけで決めても、それが戦場になり得ないということも考えられます。
例えば、ハンバーガー店である自社が、マクドナルド・モスバーガー・ロッテリアと戦う場所が戦場だ!と考えていても、顧客にとっては”ランチ”が戦場かもしれません。
そうなると、敵はマクドナルド・モスバーガー・ロッテリアだけではなく、吉野家・やよい軒・日高屋と戦う場所が戦場になりえます。
勝てる場所をどう選ぶか
どこを戦場と考え、そのうえで、勝てる場所をどう選ぶべきか。
佐藤義典著「実践マーケティング戦略」(日本能率協会マネジメントセンター)では、以下のような視座を提供してくれています。
伸びている市場×敵が少ない市場を狙う
例えば、百貨店でシニア層に意図的に特化している会社は少なかったりします。
シニア層という伸びている市場で、かつ、百貨店という括りではそのように特化していることは少なくまだ敵が少ないといえます。
強みが活かせる分野を狙う
何も考えずに真っ向勝負を挑めば、物量の高い者(=大手)が勝ちます。
例えば、「価格」を戦場にしたりすれば、まず間違いなく、物量の高い者(=大手)が勝つことは明白です。
つまり、物量が限られた立場(中小企業、創業したて)であればあるほど、真っ向勝負は避けるべきであるということになります。
できるだけだだっ広い平野ではなく、狭隘で大軍が展開しにくい戦場を選んだほうがいいということになります。
飲食であれば宅配かつ深夜時間帯など、大企業が狭隘で参入しにくい分野を戦場と決め、できるだけ敵が少なく、自社はそれに特化しているゆえに戦いやすい、といった分野を切り取りたいところです。
競合が参入しにくい分野を狙う
上記と同様、大手が展開しやすい分野ではなく、本腰を入れ得ないような分野を選び取りたいものです。
利益率の高い分野のみを切り取って狙う
ビジネスの一連の流れとして、「開発→製造→流通→販売」あるいは「仕入→在庫→陳列→販売」などがあります。
大手はその一連の流れを担うゆえに、どこで利益を得るべきかイメージしながら事業を行っています。
例えば、開発はコストがかかるゆえ、販売で利益を得る、あるいは、製造効率・流通効率を上げることで利益を得るなどです。
自社が小規模であれば、いきなりその一連の流れをすべて担おうとすればするほど、その物量の差ゆえに、大手に負けてしまいます。
そのため、流れのなかの一部のみを切り取って、そこで勝負する、という視点が考えられます。
例えば、コピー機メーカーひしめく市場であればトナーのみに特化する、パソコン販売であれば開発は捨ててあえて他社に追随するなどです。