事業にはいいときもあれば、よくないときもあります。
よくないときには、お客様のその辛さには可能な限り共感するようにしています。
そのような姿勢でいないと、その後の話は宙に浮き、一方通行で意味のないものになってしまいます。
河合隼雄「カウンセリング入門」(創元社)を読んで15年で学んだこと。
事業には、いいときもあれば、よくないときもある
事業には、いいときもあれば、よくないときもあります。
昨今は新型コロナウィルス感染症の影響で、よくないときが多いものです。
お客様との月次などの打合せにおいても、よくない報告になってしまうことも多いです。
頭で考えることは誰にでもできる
数字は嘘をつかない、といいますが、僕がお客様に月次での報告をするときは、まさに数字でのご報告となります。
いいときには素直にそれを反映しますが、よくないときにも素直にそれを反映してしまいます。
そんなときの僕の役割は、まずは相手の辛さにきちんと共感することだと思っています。
お茶を濁さず、相手の言葉になる・ならない感情を、否定したり話のペースを遮ることなく受け止めて、話を聴くことだと思っています。
お客様にとっては、月次報告時には、辛いことに真正面から向き合わなければいけないきついものである場合も当然出てきます。
経営数字というのは誰しもに見せられるものではなく、しかしその限られたなかに僕は入れて頂いているわけです。
お客様が、話を聴いてくれるという安心の気持ちを頂いているとともに、誰にも言えないこと・言ったことがないことを言わなければいけないという辛さを、あわせて抱いているのだと自覚して受け止めながら、お話を聴く必要があると考えています。
共感が伴わなければ、話はすれ違う
”税理士は、社外財務役員でありましょう”という言葉があります。
ここ最近こういった言葉があり、僕もそうありたいと思っています。
一方で、それは技術であるとか自覚であるとかという前に、まずは「共感」が必要だと強く感じます。
相手の心情を受け止めて、一緒に今後を考えていく度量も必要です。同時に、社外であることの謙虚さも必要です。
本やセミナーで得た知識があって、それをお茶を濁すように提案しても、それは宙に浮きます。
会社ごとに様々な状況があり、数字があり、数字に表れない思いやビジョンがあります。
全体に共感して考えるに、問題に対する答えは、こちらは一概に与えられるものではない、というよりも、一概に与えることはできないのではないかと思います。
税務や会計といった技術的なことはあくまで補助的に存在していて、そういった知識を提案したり調べたりしつつも、まずは相手の辛さや思いに共感し、会社の全体の状況やビジョンを踏まえ、相手が考えることを十分にお伺いしつつ、お客様が自社の問題を自身で解決する道筋にしっかりと寄り添っていきたいと考えています。