貸借対照表の”並び”を知ることで、よりよくしていくための方向性が見えてきます。
小山昇著「社長!儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!」(すばる舎)を参考にして。
貸借対照表の”並び”
「損益計算書」は、売上、そこから差し引く経費、利益に至るまでのストーリーとして記載されています。
一方で、「貸借対照表」は、資産や負債のリストであるため、どのように読み、どのような方向に進んでいけばよいのかのイメージが湧きづらい面があります。
しかし、「貸借対照表」の資産や負債の配置には一定の方向性があり、その”並び”が分かることで、今後どのようにしていけばよいかの方向性が分かってくるようになります。
方向性を知る
「貸借対照表」は、右半分は”調達”、左半分はその”運用”を意味しています。
左半分(資産の部)=”運用”
貸借対照表の左半分は、資産の部になっています。
現預金、棚卸資産、売掛金、固定資産など、会社にとっての資産が記載されています。
右半分(負債の部、純資産の部)との関連性でいえば、負債(借入など)・純資産(出資金や事業の利益)などで調達したお金を、どのような運用形態で持っているかを示しています。
この左半分(資産の部)の並びには一定の法則性があります。
一番上には、現金預金が来ます。
下には、長期的に投下しているもの(投資等=長期貸付金、投資有価証券など)や固定資産が来ます。
これは、”現金化しやすさ”で並んでいます。下に行けば行くほどすぐには現金化できないものであり、相対的に、手元資金が少ない状態といえます。
長期的に投下しているものが有効に利益を上げるために貢献してくれていればいいのですが、そうでなければ、様々な方向性に動けるよう、できれば手元に現預金として持っておきたいところです。
右半分(負債の部、純資産の部)=”調達”
貸借対照表の右半分は、負債の部・純資産の部になっています。
支払手形、買掛金、未払金、短期借入金、長期借入金、資本金など、会社にとっての負債・純資産が記載されています。
この右半分(負債の部・純資産の部)の並びには一定の法則性があります。
一番上には、短期借入金や未払金など、調達しやすいが返済期限もすぐ来るものが来ます。
下には、長期借入金など、調達しにくいが返済期限が長いものが来ます。
これは、”調達しやすさ・返済期限の短さ”で並んでいます。上に行けば行くほど返済期限は短く(=安易に調達しやすい)、すぐに手元資金がなくなるかもしれないと思わせる状態といえます。
よって、例えば、できれば短期借入金や買掛金を増やすのではなく、長期借入金など返済が長期間でよいものを増やすことで、安定的に経営していくことへと繋がっていきます。
どう読めばよいかが分かるとイメージがつきやすい
上記の方向性の原則(左半分はより上に、右半分はより下に)を知っておくと、色々なイメージを持つことができます。
- 固定資産のコストパフォーマンスを再調査し、できるだけ流動資産(現預金など)で持つ
- 棚卸資産を再調査し、定価で売れないので値引販売・廃棄すべきなどの判断をして、できるだけ現預金で持つ
- 売掛金よりも現預金で持つ(回収サイクルが短くする)
- 定期預金と普通預金とのバランスを考える
- リスクのある支払手形を増やすのではなく、買掛金を増やす
- 短期借入金と長期借入金のバランスを考える