経営数字を見て”気づき”を得るための3つの視点があります。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
経営数字から経営判断するために
経営数字は、事業活動に伴うお金の記録ともいえます。
日々、何かしらのお金の動きはあるもので、それを一つ一つ正確に記録していくと、その量は自然と膨大なものとなります。
その膨大な記録を”帳簿”という形でパッケージしていっています。
パッケージするにあたっては、コンパクトに保存できるよう、漢字と数字とに集約することになります。
ただ、業績を見て経営をイメージするにあたっては、”漢字と数字の羅列”ではなかなか湧きづらい面があります。
3つの視点
「率」で見る
「何%なのか」という視点です。
例えば、利回りのような計算を見るのに有効です。
最大のメリットは、”規模が違っても相対的に比較がしやすい”という面だと思います。
例えば、一人あたりの売上高・一人あたりの粗利、といったことを見ていく場合、売上規模が異なる企業同士であっても比較することが可能です。
ある分野では、大企業よりも勝っている指標もあるかもしれず、自社の強みを明らかにすることも可能となります。
「額」で見る
「率」はあくまで「率」で、目安です。
例えば、実際の支払いは「額」であり、絶対金額です。
率がどれほどよくとも、必要な金額に達していなければ意味がありません。
絶対金額で決まっているような、例えば、銀行借入の返済額や収支分岐点となる売上高などは、率だけではなく実際の金額を見なければ良し悪しが分かりません。
「ビジュアル」で見る
漢字と数字からでは、イメージがしづらいものです。
それは、経営判断は、左脳と右脳の両方からアプローチしていかなければ、自分のなかで腹落ちした決断ができないからだろうと思います。
右脳でも数字の意味を感じるには、「グラフ」「図表」が直感的で分かりやすいものです。
ときに、多くの言葉や数字よりも多い情報量を持ち得ます。
例えば、過去から現在にかけての総売上の推移、その取引先別、商品別、店舗別、地域別など、自社に合った形でまとめてビジュアル化していくと、様々な気づきを得ることができます。
成長しているか、横ばいなのか、衰退しているのか。
各施策(商品政策、営業政策、人事政策、資金政策)や、外部環境の変化とそれにどのように対応してきたかが思い出されてきて、その結果やお客様・市場の反応がひと目でわかるようになります。
数字を大切に扱うと、数字から大切に扱われる
過去から現在にかけて、どのようなことがあったのか。数字の変化とそのときの行動・心情がリンクすると、これまでの振り返りがしやすくなります。
また、現在から未来にかけて、どのように動いていくとうまくいきそうなのか・そうでないのか、といったことも、数字からイメージが掴めれば、行動の指針・良し悪しが掴めるようになります。
数字を大切に扱わなければ、数字から大切に扱われません。
逆にいえば、数字を大切に扱うと、数字から大切に扱われるのだともいえます。