経営や事業というと、様々な理論や戦略が出ているものですが、究極的には、売り手と買い手との「価値観の交換」といえます。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
売る物や売り方が変わっても、変わらないこと
現在では、対面販売にとどまらず、ITの進展に伴ってネット通販なども当たり前の売り方になってきました。
商行為が太古の昔からあったことを考えると、特にネット通販などはここ数十年前のことです。
時代の流れによって、売る物も変わり、売り方も変わってきています。
事業や経営に関する様々な戦略論・戦術論も実に多く出てきました。
ただ、事業そのものの根本は変わることがありません。
「買い手が欲しいと言ったものを、売り手が提供し、対価を得る」
時代とともに売る物や売り方が変わっても上記の事実は変わることはなく、いわば、”売り手と買い手との関係性”の話に帰結します。
売り手の立ち位置から考えれば、他の同じ売り手という立ち位置にいる事業者のなかから、買い手に選んでもらえるかどうか・欲しいと思ってもらえるかどうか、に集約されていきます。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)の言葉を借りると、商品・サービスを舞台とした、売り手と買い手との「価値観の交換の場」であるといえます。
戦い方の原理原則もそれほど変わらない
同業他社の動向は重要ではあるのですが、そもそもの話として、同業他社同士で直接対決するというわけではありません。
あくまで、「自社とお客様との関係性」であり、「自社の価値観とお客様の価値観の交換としてどうか」という話になります。
それを前提として、同業他社との関係性をどのように考えるべきかを考えてみると、色々なものが見えてきます。
そもそも中小企業が大企業と真っ向勝負しても、経営資源の物量差から負けは見えていますし、負けてしまっては、そもそもお客様との関係性どころではなくなってしまいます。
そのため、”負けない戦い方をするにはどうしたらいいか”・”そもそも強者との競争を避ける戦い方はできないか”ということから発想していきたいところです。
その戦い方を突き詰めてゆくと、その原理原則も歴史のなかでさほど変わっているものでもありません。
孫氏の兵法は依然として有効ですし、ランチェスター戦略も有効といえます。
基本的に、弱者は「差別化」と「重点化」にポイントを置き、”戦う場を自分の得意分野に絞り、差別化して戦う”というものです。
戦略以上に磨きたい技術
ITがどれほど進展しても、事業の根本が「売り手と買い手との価値観の交換」である以上、売り手にとって重要なのは、”買い手となる層の人の心の動き”です。
ということは、売り手として磨くべき技術は、いかにして”買い手となる層の人の心の動きを斟酌することができるか”、すなわち「人間に対する洞察力」である、ということができます。
人の心の動きを知ることができるか、そこにどれほど寄り添うことができ、他人(ひいては社会)の役に立てるか、にかかっているといえます。