一言で銀行といっても、様々な種類があります。
川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)を参考として。
銀行の種類いろいろ
銀行は、以下のように種類分けすることができます。
民間金融機関
- 銀行(メガバンク)
- 銀行(地方銀行)
- 信用金庫・信用組合
政府系金融機関
- 日本政策金融公庫(国民生活事業・中小企業事業・農林水産事業)
- 商工組合中央金庫
それぞれの特徴
銀行(メガバンク)
- 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行
- 年商10億円以上の会社でないとなかなか相手にしてもらえない
- 年商10億円未満の会社においては、まずプロパー融資は期待できない
- 大きな金額の融資をしてくれる
- 海外展開・M&Aなどのサポートも可能
- 業績が悪くなると厳しいスタンスになることも多い
銀行(地方銀行)
- 各都道府県にある地方銀行(長崎:十八親和銀行、長崎銀行など)
- 地元企業との共存共栄が基本スタンス
- 年商10億円未満でも、信用力によってプロパー融資が期待できる
- 実行額数百万円~数千万円もこまめに対応してくれる
- 業績が悪くなっても親身に相談に乗ってくれる担当者も多い
- 担当者がついてくれ、対応してくれる
信用金庫・信用組合
- 地元企業との共存共栄が基本スタンス(長崎:たちばな信用金庫など)
- 年商10億円未満でも、信用力によってプロパー融資が期待できる
- 実行額数百万円が中心
- 業績が悪くなっても親身に相談に乗ってくれる担当者も多い
- 担当者がつき、よりこまめに対応してくれる
- 支店のある地域内に事業所があることが条件(移転すると融資してくれなくなる可能性)
日本政策金融公庫
- 民間金融機関の補完を旨としている
- 国民生活事業・中小企業事業・農林水産事業(もともと別々の組織が統合されている)→別々の金融機関と考えた方がよい
- 国民生活事業→創業したての企業~年商5億円ほどの企業が中心
- 中小企業事業→年商5億円ほどからの企業が中心
- 農林水産事業→農業・林業・漁業・食品産業が中心
商工組合中央金庫
- 年商5億円ほどからの企業が中心
事業サイズや相性で考える
事業サイズで考える
上記の特徴を踏まえ、どの金融機関と取引するかにあたっては、まずは自身の事業サイズで考えてみたいところです。
創業したての企業であれば、日本政策金融公庫(国民生活事業)・地方銀行・信用金庫・信用組合を考えることになるといえます。
融資希望額数百万円規模であれば、日本政策金融公庫(国民生活事業)・信用金庫・信用組合、あるいは、地方銀行で考えることになるといえます。
一方で、融資希望額が大きいのであれば、地方銀行やメガバンク、日本政策金融公庫(中小企業事業)で考えることになるといえます。
相性で考える
どれくらいの親身さを求めるかにもよってくることになります。
信用金庫・信用組合はとても親身ですし、地方銀行も親身に対応してくれます。
業績がやや悪くなっても親身に相談に乗ってくれる可能性も高いものです。
日本政策金融公庫においては、民間金融機関のような親身さはない場合が多いです。
プロパー融資の活用
融資の種類には、「保証付融資(保証協会の保証付きの融資)」と「プロパー融資」とがあります。
事業者の信用力がないうちは、公的機関である保証協会が保証をつけてくれる「保証付融資」が中心となり、信用力がついてくると、銀行との直取引である「プロパー融資」という選択肢が生まれてきます。
相対的に「プロパー融資」は難易度が高く、また、「保証付融資」には事業者ごとの”枠”が設定されています。
つまり、「プロパー融資」が期待できるのであれば、この「保証付融資」はできるだけ温存したほうがよい、ということになります。
その視点で考えてみると、年商規模が10億円未満であれば、メガバンクとのプロパー融資は期待することは難しいものです。
一方で、地方銀行・信用金庫・信用組合であれば、信用力が高まれば、プロパー融資が期待できます。
自身の資金調達がしやすい環境を整えていこうと思うと、まずは地方銀行・信用金庫・信用組合との間での保証付融資で返済実績を積み、信用力がついた段階でプロパー融資を受け、この保証付融資の枠は何かあったときのために温存する、という段階で考えていくことができます。