1つの銀行と取引するか、複数の銀行と取引するか。
川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)を参考として。
複数の銀行と取引したほうがよい理由
1つの銀行と取引するか、複数の銀行と取引するか。
小さな会社であっても、複数の銀行と取引しておいたほうがよいといわれています。
川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)で解説されていたその理由3つです。
理由①万が一のときの資金調達の道を作っておく
1つの銀行とのみ取引している場合で、万が一のときに、その銀行からへの融資申込みを断られたらどうなるか。その際、他の銀行へ新規に融資申込みをして、うまくいくかどうか。
ここに差が出てきてしまいます。
その他の銀行の心情として、その会社がこれまで唯一取引してきた銀行ではなく、自行に申し込んできたのはなぜだろうか、と考えることになります。
そうなると、これまで取引してきた銀行ですら貸せないと判断した理由(財務状況の著しい悪化、社内での大きな問題発生、粉飾決算等)があるのではないか、と考えて警戒されることとなり、融資が断られる可能性があります。
一方で、新規ではなく、これまでの取引があり返済実績があれば、新規ほどの警戒はされることはなく、相対的に融資審査が円滑に進む可能性が高くなります。
川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)では、具体的に、以下が目安とされていました(政府系金融機関除く。)。
- 借入金総額3,000万円未満の場合:2つ以上
- 借入金総額3,000万円~1億円未満の場合:3つ以上
- 借入金総額1億円以上の場合:4つ以上
理由②よりよい融資につなげるため
複数の銀行と取引していれば、よりよい提案をしてもらえる銀行を選ぶことも可能になります。
よりよい融資とは、川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)を参考にすると、以下のようなものといえます。
- より金利が低い融資
- より返済期間が長い融資
- より金額が大きい融資
- 連帯保証人なし、担保なしの融資
- 保証付融資ではなくプロパー融資
理由③銀行の統合に備えるため
銀行の統合も増えており、2つの銀行であっても1つの銀行になる可能性もあるため、上記のような複数行との取引とはいえなくなってしまいます。
借入金総額が多い会社であれば特に、常に3つ以上をキープしておくことで、統合によって1つの銀行のみとの取引になってしまうという状態を防ぐことができます。