借換えをする場合、自社にとってデメリットが生じないよう気をつける必要があります。
川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)を参考として。
新規融資か、借換えか
追加で融資を受けようとする場合には、2つの選択肢があります。
- 既存融資+新規融資
- 既存融資の「借換え」
このうち、「既存融資+新規融資」の最大のデメリットは、既存融資の月返済額に加え、新規融資の月返済額の負担が加わる、という点です。
これに対して、「借換え」であれば、既存融資を完済したうえで改めて新規融資を受ける形になります。
そうすると、資金としては純増(真水)という形で増加し、借入れも1本にまとまるため、月返済額も「既存融資+新規融資」に比べれば増加しない、というメリットがあります。
- 月返済額が、「既存融資+新規融資」に比べて増加しづらい
- 借入の本数が増えないので、管理しやすい
- 借換え後の融資の利率が低ければ、結果として既存融資分の利率も低くなったことになる
メリットの方が多いこの「借換え」ですが、どの案件にでも対応できるというわけではありません。
- 保証協会の保証付融資の場合、借換えができない場合がある
- 既存融資に違約金条項があると、違約金が発生することがある
- ”プロパー融資→保証付融資”の借換えはできない
借換えで気をつけるべきこと
「借換え」といっても、銀行そのものを変更するパターンの場合は、くれぐれも注意が必要です。
借換えをされる側の銀行にとってみれば、借換えをされるということは決して面白いことではないため、関係が悪化する可能性があります。
よって、取引できる銀行の選択肢を狭めてしまうことにもなります。
借換え提案の内容を知っておく
融資の種類
同じ銀行融資でも、種類があります。
- 信用保証協会の保証がついた「保証付融資」
- 銀行そのものとの取引である「プロパー融資」(保証協会の保証がついていないもの)
上記のうち、銀行という立ち位置で考えてみると、保証協会が保証してくれる保証付融資の方が安心できるため、保証付融資の活用をまずは思い立ちます。
ただ、保証協会には、1企業に対して保証できる枠がおおむね決まっています。
上記の保証付融資などで返済実績ができてから、銀行そのものとの取引であるプロパー融資という関係性に発展していくのが通常と言われています。
提案されるパターン
川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)では、他銀行から借換えを提案されるパターンと、その特徴について解説されています。
A銀行の保証付融資→B銀行の保証付融資
- A銀行との関係悪化が想定される
A銀行のプロパー融資→B銀行のプロパー融資
- そもそもA銀行のプロパー融資を返済する必要があるか考える(A銀行との関係悪化リスクを飲んでまで行う必要があるか)
A銀行のプロパー融資→B銀行の保証付融資
- 難易度の高いプロパー融資を、難易度の低い保証付融資にするメリットがない
- 保証協会の枠をできるだけ確保するためにも、わざわざプロパー融資から保証付融資にするメリットは薄いと考えられる
A銀行の保証付融資→B銀行のプロパー融資
- 保証協会の枠を温存することにつながるというメリットがある
- プロパー融資してもよいということは、一定の信頼をしてくれている可能性も高い