「戦略」と「戦術」はともに重要ですが、誤った戦略のもとに、優れた戦術で進むとどうなるか。
森岡毅著「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方-成功を引き寄せるマーケティング入門-」(角川書店)を参考として。
「戦略」と「戦術」の違い
「戦略」と「戦術」は異なるものです。
戦略
「戦略」とは、「経営資源をどこにどのように投下・配分するかの大まかな方針のこと」です。
- 何を売るとよいか(What)
- どこで戦うか(Where)
経営資源をどこに配分すべきか。何を売ると決めて進むか。
そのような意味合いのものとされています。
”どこへ向かうべきか”と言い換えると、イメージしやすそうです。
戦術
「戦術」とは、「戦略を実行するための、より具体的な実践プランのこと」です。
- どのように戦うか(How)
戦略で決めた領域で、経営資源を実際に消費し、実行していくプランをいうものとされています。
”どのように向かうべきか”と言い換えると、イメージしやすそうです。
誤った戦略&優れた戦術
”優れた戦略&優れた戦術”ので進むのが理想的であるということはいうまでもありませんが、実際には、様々なパターンがありえます。
「戦略(どこへ向かうべきか)」さえ合っていれば、進むべき方向性は合っていることになりますので、「戦術(どのように向かうべきか)」が悪くとも着実に進むことができているため、戦術にテコ入れさえすればスピードアップするイメージができます。
「戦略(どこへ向かうべきか)」も「戦術(どのように向かうべきか)」も両方間違っている場合には、戦略を練り直すことになります。この場合、誤り具合が軽症なので、リカバリーできるイメージができます。
しかし、 「戦略(どこへ向かうべきか)」 が間違ったまま、「戦術(どのように向かうべきか)」が優れてしまっている場合、リカバリーするための膨大なエネルギーが必要となり、取り返しがつかない場合もありえます。
戦略は重要だが、戦術も重要
どちらかといえれれば、「戦略」の方が重要といえます。
しかし、「戦術」は重要でないかというと、そうではないものです。
いざ勝負となると、どのように向かうかの具体的なプランニング次第で、最終的な結果は大きく変わってくるからです。
例えば、どのように向かうかという意味で考えると、徒歩という手段で目的地へ向かうか・車という手段で目的地へ向かうか、では、たどり着くという結果において、大きな差を生みます。
一方、組織が大きくなればなるほど、経営者は「戦略」に重きを置き、「戦術」は社員などの他人に任せていくことになります。
「戦略」が重要だからかと「戦略」のみに集中するのもまた誤りの原因になりえます。
なぜならば、実際の消費者との接点は「戦術」にあります。
どのように経営を進めていくべきかという”将来”の部分は、過去から現在にかけての”データ”にあるのではなく、実際の消費者の”表情”にあります。
実際に商品やサービスを消費しているときの消費者の表情にこそ、結果を左右するものがあるといえます。
ゆえに、「戦術」に関しても、決して他人任せにすることなく、実際の消費者との接点である「現場」を自分の目で見て観察し、任せている部分についても詰めに妥協しない姿勢が大事ということになります。