ChatGPTを事業で活用している方にとって、「この利用料は消費税計算の際の仕入税額控除の対象になるのか?」という疑問が生じます。どのような取扱いになるのか。
ChatGPT利用料は仕入税額控除できる!インボイス制度にも対応
ChatGPTの有料プランに登録し、事業で活用している法人やフリーランスの方にとって、「この利用料は、消費税計算において仕入税額控除の対象になるのか?」と気になるかもしれません。
最初に結論
ChatGPTの利用料は、2025年1月利用分以降については、日本のインボイス制度にも登録されており、消費税計算において仕入税額控除の対象になります。
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次の章では、ChatGPTの利用料の請求書がインボイス制度にどのように適合しているのか、ポイントを確認してみます。
ChatGPTの請求書はインボイス制度に適合しているか?ポイント確認
請求書が日本のインボイス制度に基づいているか?
インボイス制度においては、請求書などの取引書類に、以下の情報が記載されている必要があります。
- インボイスの交付先である相手方の氏名または名称
- 売手(自社)の氏名又は名称及び登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 10%・8%それぞれの対象となる対価の総額及び適用税率
- 10%・8%それぞれの消費税額等
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OpenAIが発行するChatGPTの利用料の請求書の記載はどうか?
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- インボイスの交付先である相手方の氏名または名称
→宛先である自社の記載あり - 売手(自社)の氏名又は名称及び登録番号
→「OpenAI,LLC」と記載あり - 取引年月日
→「February 9,2025」と記載あり - 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
→「ChatGPT Plus Subscription」と記載あり - 10%・8%それぞれの対象となる対価の総額及び適用税率
→「JCT – Japan(10% on $20.00)」と記載あり - 10%・8%それぞれの消費税額等
→「$2.00(¥303)」と記載あり
OpenAIの請求書には、インボイス制度・消費税仕入税額控除の要件を満たす情報が適切に記載されていることが分かります。
ChatGPT利用料の請求書・領収書の確認の仕方
- ChatGPTのトップ画面
- 左下「プランの表示」をクリック
- 「サブスクリプションを管理する」をクリック
- 右下の「インボイスの履歴」から見たい月分をクリック
- 「請求書をダウンロード」「領収書をダウンロード」をクリック
インボイス番号は、2025年1月スタートで登録されている
OpenAIは、2025年1月から適格請求書発行事業者となるような登録がなされています。
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これにより、OpenAIは、日本のインボイス制度登録事業者であることが確認できます。
2024年12月以前分はどうなるのか?
2024年12月以前分については、日本のインボイス制度に登録されておらず、かつ、以下のような理由から、消費税計算において仕入税額控除の対象にならないと考えられます。
- ChatGPT利用料は、”国外事業者の電子通信役務の提供”に該当し、「リバースチャージ方式」に基づき、いったん消費税の要件の一部を満たすことにはなります。
- 消費者向けの”電気通信役務の提供”に該当する場合、国内の事業者が国外の事業者から消費者向け電気通信利用役務の提供を受けたときには、当面、仕入税額控除を制限することとされています。
- ChatGPT利用料は、その利用目的を事業者向けと縛っていないことから、消費者向け”電気通信利用役務の提供”に該当すると考えられます。
- 上記の場合、「登録国外事業者」に該当すれば仕入税額控除を行うことができることとされているものの、Open AIは登録国外事業者に登録しておらず、消費税の仕入税額控除の対象にはならないと考えられます。
”OpenAI Japan合同会社”という会社もある?
余談ですが、”OpenAI Japan合同会社”という会社もあり、2023年10月1日スタートでインボイス登録がされているようです。
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この”OpenAI Japan合同会社”は、OpenAIが2023年4月15日に東京オフィスを開設した際に設立した日本法人ですが、ChatGPTの請求書の社名としては登場してこず、支払先ではないと考えられます。
OpenAIは外国法人だが、日本の法人番号を取得している
OpenAIは米国企業ですが、日本の法人番号を取得しているようです。
つまり、OpenAIは、日本の法人番号を取得したうえで、インボイス制度に登録したと考えられます。
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外国法人でも日本の法人番号が取得できるか
外国法人は、日本の設立登記法人に該当しないため、代表者選任登記や営業所設置登記をしたのみでは日本の法人番号は取得できないとされています。
ただし、外国法人であっても、一定の場合には、日本の法人番号を取得することができます。
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- 以下の税法上の届出書を税務署に提出した場合
・給与支払事務所等の開設届出書
・法人設立届出書
・外国普通法人となった旨の届出書
・収益事業開始届出書
・消費税課税事業者届出書
・消費税の新設法人に該当する旨の届出書
・消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書 - ①以外の外国法人で、以下の要件に該当し、国税庁長官に届出書を提出した場合
・国税に関する法律に基づき税務署長等に申告書・届出書等の書類を提出する団体又はこれらの書類の提出者から当該書類に記載するため必要があるとして、法人番号の提供を求められる団体に該当する場合
OpenAIが、上記の①②のいずれによって法人番号を取得したのかまでは分からないものの、おそらくいずれかの方法により、法人番号を取得したものと考えられます。
まとめ
ChatGPT利用料は、2025年1月分以降は、適格請求書発行事業者であるOpenAIからの請求書を基に、仕入税額控除の対象とすることができます。
(逆に、2024年12月分以前は、仕入税額控除することはできないと考えられます。)
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