【電子帳簿保存法】2024年以降、電子データ保存へ対応するための選択肢

電子帳簿保存法の改正により、2024年以降、電子データ保存へ対応するための選択肢について。

目次

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法そのものは歴史は比較的古く、平成10年度税制改正によって誕生しています。

ただ、かつては要件が細かく負荷もかかるものであったため、令和3年度税制改正以前は、一部の事業者のみで利用されていたもの、という印象があります。

全事業者の強制適用という形で注目が集まったのは、令和3年度税制改正でした。

電子データで受領している請求書等について、これまでは紙保存が認められていたため、”とりあえず証憑関連はすべて紙保存しておけばよい”という考え方で進むことができていました。

令和3年度税制改正においては、証憑を3区分に分けたうえで、そのうちの電子データについては電子データ保存(+細かな保存要件等)が強制、紙保存不可とされたのでした。

国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」より

令和3年度税制改正の内容については、全事業者強制となる電子データについて、特に保存要件等の充足のための煩雑な対応が求められることもあり、その後の令和4年度税制改正において猶予期間が設けられ令和5年度税制改正において新たな緩和措置が設けられています。

電子帳簿保存法の全体像

電子帳簿保存法の全体像をまとめると、以下のようになります。

このうち、「電子データ取引の保存」は、全事業者への強制適用となる点に留意が必要です。

2024年以降適用分の改正内容(電子取引のみ)

国税庁より、2024年以降適用分に関するパンフレットが出されています。

上記の国税庁のパンフレットから「電子データ保存に関する主な改正事項」部分を抜粋して見てみます。

国税庁「電子帳簿保存法の内容が改正されました」より
電子データ保存に関する改正のポイント
  • 検索要件が不要となる対象者が見直された
    ①2年度前の売上高が5,000万円以下の事業者
    or
    ②電子データを出力した書面を、求めに応じて提示・提出できるようにしている事業者
    (日付順、取引先ごとに整理しておく必要あり)
  • 猶予措置が整備された
    相当の理由があれば、「電子データ保存し、かつ、紙出力」でOK

2024年以降の選択肢

2024年以降については、対応の選択肢は複数考えられます。

2年度前の売上高が5,000万円以下の事業者

相当の理由あり→「猶予措置」

システム導入にコストがかかる等相当の理由があれば、「猶予措置」の利用を考えます。

その場合、必要な対応としては、以下です。

  • 電子データ電子データ保存し、かつ、紙出力する

電子帳簿保存法へ対応

電子帳簿保存法へ対応する場合、その各要件への対応を考えます。

細分化すればもっと選択肢は広がりますが、一般的に、最もハードルを低くした状態での対応を考えると、以下になりそうです(私見です。)。

要件対応ポイント
システム書類の備付ソフトのマニュアル・ヘルプで対応可能
見読可能性の確保ディスプレイ等で速やかに出力することで対応
検索機能の確保不要→単に出力画面の提示で対応可
真実性の確保事務処理規定を作成する
※タイムスタンプor訂正削除システムを使用しない場合(最も取り組みやすい要件)

2年度前の売上高が5,000万円超の事業者

相当の理由あり→「猶予措置」

システム導入にコストがかかる等相当の理由があれば、「猶予措置」の利用を考えます。

その場合、必要な対応としては、以下です。

  • 電子データ電子データ保存し、かつ、紙出力する

電子帳簿保存法へ対応①(検索要件不要対応パターン)

電子帳簿保存法へ対応する場合、その各要件への対応を考えます。

細分化すればもっと選択肢は広がりますが、一般的に、最もハードルを低くした状態での対応を考えると、以下になりそうです(私見です。)。

要件対応ポイント
システム書類の備付ソフトのマニュアル・ヘルプで対応可能
見読可能性の確保ディスプレイ等で速やかに出力することで対応
検索機能の確保①電子データを出力した書面を、求めに応じて提示・提出
②書面を、日付順、取引先ごとに整理しておく
真実性の確保事務処理規定を作成する
※タイムスタンプor訂正削除システムを使用しない場合(最も取り組みやすい要件)

電子帳簿保存法へ対応②(ファイル整理パターン)

電子帳簿保存法へ対応する場合、その各要件への対応を考えます。

細分化すればもっと選択肢は広がりますが、一般的に、最もハードルを低くした状態での対応を考えると、以下になりそうです(私見です。)。

要件対応ポイント
システム書類の備付ソフトのマニュアル・ヘルプで対応可能
見読可能性の確保ディスプレイ等で速やかに出力することで対応
検索機能の確保①ファイル名→「20221031国税商事110000」など
 or
②エクセル等での索引簿
真実性の確保事務処理規定を作成する
※タイムスタンプor訂正削除システムを使用しない場合(最も取り組みやすい要件)

電子帳簿保存法へ対応③(システム活用パターン)

電子帳簿保存法へ対応する場合、その各要件への対応を考えます。

細分化すればもっと選択肢は広がりますが、一般的に、最もハードルを低くした状態での対応を考えると、以下になりそうです(私見です。)。

要件対応ポイント
システム書類の備付ソフトのマニュアル・ヘルプで対応可能
見読可能性の確保ディスプレイ等で速やかに出力することで対応
検索機能の確保システム導入
「年月日」「金額」「取引先」
※②「年月日」「金額」→範囲指定
※③上記2以上の項目を組み合わせて条件設定
ダウンロードの求めに応じれば、①のみで可
真実性の確保事務処理規定を作成する
※タイムスタンプor訂正削除システムを使用しない場合(最も取り組みやすい要件)

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