”事業性評価融資”という融資審査手法が出てきています。
松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。
目次
背景(金融庁の銀行検査の方針の変化)
従来の金融庁検査では、過去の処理の適正性を厳格に確認するものでした。
近年、そのような方針から変化しているといわれています。
これまでの過去の経営数字や担保にかなり重きを置いた融資に対する厳格な融資から、金融機関が中小企業をきちんとフォローしているか・経営支援をしているか、ミドルリスクミドルリターンを取ることで金融機関の収益性はきちんと向上しているかといったことに重きを置く方向にシフトしていくというものです。
つまり、金融機関は企業の事業性に着目して融資審査を行っているか、という方向に評価軸が向かっているということです。
事業性評価融資
上記のような事情を背景に出てきているのが「事業性評価融資」といわれるものです。
過去の財務内容や担保にとらわれず、会社訪問や経営相談などを通じてその会社の事業内容や成長可能性を図り、融資へとつなげる手法です。
事業性評価融資で会社側が気をつけること
会社側として、この事業性評価融資の波をどのように受け止めればよいか。
以下に留意するとよいとされています。
- 金融機関のコミュニケーションを重視すること
- 会社側から積極的に情報公開すること
- 必要な書類を揃え、いつでも対応できるようにしておくこと
必要な資料
事業性評価融資に必要な資料としては、以下のような書類が考えられます。
- 企業概要書
- ビジネスモデル図、商流図、グループ図
- 金融機関取引一覧
- 損益実績表(創業~ or 直近10年実績)
- 5か年の損益計画書・貸借対照表
- 資金繰り計画表
- 事業計画書(事業性評価融資の対象事業)
- 財務分析報告書(ローカルベンチマーク)