安定期・成熟期は、銀行との関係性において、どのような点に留意すべきか。
松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。
目次
複数行取引をしながら預金残高を一定に保っていく
安定期に入ると、銀行からの信用も厚くなり、複数行取引も自然とできるようになってきます。
複数行と取引しつつ、うまく時期をずらして折り返し融資をしていくことで、預金残高を一定に保つことができ、経営の安定性を高めることができます。
一つの銀行から当座貸越や社債といった銀行からの提案があると、他の金融機関からの評価向上に繋がるため、金利・手数料を勘案しつつではありますが極力検討していきたいところです。
融資等を活用して、設備更新を検討していく
安定期に入ったら、設備等の更新も積極的に検討し、収益力がより長く続くようにしたいところです。
更新にあたっては、融資の力も借りながら検討していくことになります。
このとき、「設備の耐用年数」と「返済期間」を合わせることができれば、損益計算書も見やすくなります。
融資以外にも、リースや割賦という選択肢もあるため、それらによる”融資枠の温存”というメリットも勘案しつつ検討したいところです。
実質無借金経営を目指す
安定期に入ってくると、無借金経営を考えたくなるところですが、無理に借入を減らすと手元資金が薄くなってしまい、突発的な何かがあったときに経営が不安定になってしまいます。
何かあった後では有利な立場で資金調達することができなくなってしまいます。
そう考えると、借入も持ちつつ銀行との関係を温存し、毎月の返済のなかで信用力を積み上げ、手元資金を厚くして経営をより安定的な状態にしておくほうがよいと考えられます。
借入金よりも手元資金のほうが多い「実質無借金経営」を目指したいところです。