事業承継期・清算期における銀行とのスタンス

事業承継期・清算期は、銀行との関係性において、どのような点に留意すべきか。

松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。

目次

事業承継を見据えた場合に、まず確認すべきポイント

「代表者個人の連帯保証を外してもらえるかどうか」

がポイントになりそうです。

代表者個人の連帯保証が必要な状況では、後継者に重いプレッシャーがかかってしまうため、できれば代表者個人の連帯保証が不要な状態にしておくことが必要です。

不要な状態にするには、銀行に不要である旨を交渉する必要があります。

以下のような状況であれば、不要であると交渉可能な状況になると考えられています。

  • 法人と代表者個人の一体性を解消しておく(役員勘定や不動産等の貸借などをなくす)
  • 財務基盤が強固であること(利益、資産が順調・潤沢であること)
  • 財務状況の適時適切な情報開示

清算を見据えた場合に、まず確認すべきポイント

「取引銀行を絞っていき、完済を目指していく」

がポイントになりそうです。

債務がなくならないと清算できません。

もし、債務が残る場合には、破産・特別清算といった形態になり、連帯保証人である代表者個人(あるいはその相続人)が債務を引き継ぐことになってしまいます。

資産超過か、債務超過か

資産超過

万が一のことがあっても、債務を完済することができる資産を準備することができるため、後継者がバトンタッチを受けて事業を継続していくことが可能になります。

債務超過

万が一のことがあった場合、債務を完済することができないため、破産・特別清算といった形態になり、連帯保証人である代表者個人(あるいはその相続人)が債務を引き継ぐことになってしまいます。

そこで、日本政策金融公庫や保証協会付融資には、「団体信用生命保険(債務返済期間に代表者個人が亡くなったら債務残高がゼロとなる保険)」の制度があるため、加入しているかどうか確認しておきたいところです。

もし団信で手当てしていない場合(またはそのような部分があれば)、通常の生命保険などで備えておく必要があります。

また、清算時に期限切れ欠損金を使用するためには、債務超過(or資産ゼロ)の状態でなければ使用することができないため、生命保険受取の事業年度に清算結了する必要があり、解散清算スケジュールには留意が必要です。

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