創業融資の際に、どのような点に注意すべきか。
松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。
創業時は”実績”がないゆえに、”計画”が重要
返済能力があるという”実績”があれば銀行も貸しやすいものですが、創業時には”実績”がまだありません。
一方で、さしあたって最も資金を必要とするのは創業時であったりします。
創業時の借入を躊躇してしまったとして、創業後半年以上経っていざ資金に困ってから銀行に借入申請しても、創業後半年以上も経っていれば、そこまでの売上・利益の実績を求められてしまいます。
誰しも創業から半年~1年ほどは苦戦するものですし、とても不利な状態で融資申請することになってしまいます。もし断られて資金が尽きてしまえば、挽回することもできず、事業は強制的に終了せざるを得ません。
創業時の借入であれば、”実績”がない分、融資審査は”計画”で行われることになります。
この”計画”に説得力があれば、十分な資金を確保したうえで創業することが可能になりますし、創業後、軌道に乗るまでの期間を乗り切ることもできます。
”実績”がなく”計画”で借入することができるということは、逆にいえば、きちんとした”計画”を作り上げる必要があります。
また、融資申請には銀行側の受付履歴が残るので、一度融資申請して否決だった場合、その否決の履歴は短くとも半年は影響するといわれています。
極端な話、ダメもとで融資申請して否決をもらってしまった場合、その後半年間は融資申請することはできないと考えても差し支えないといわれています。
事業計画の柱となるポイント
創業融資の申請で重要となる「計画(=事業計画)」のポイントを大まかに挙げるとしたら、以下が考えられます。
- 創業しようとしている事業に関する経験は十分か
- 社会に対する何らかの問題意識をもって起業しようとしているか
- 創業時に向けて、自己資金を計画的に貯めてきているか
- 利益を安定的に出すことのできる計画であるか
評価されやすいこと、評価されにくいこと
創業融資の申請において、どのようなことが評価されやすいか。
- 創業しようとしている事業に関する経験が2~3年ある
- 創業しようとしている事業に関する経験のうち、マネジメント経験がある
- ”なぜ今、創業しようとしているか”が明確
- ”なぜ自分がやるべきだと考えているか”が明確
- 業界・市場を十分に研究している
- 業界・市場をもとに、他者との差別化ポイントをどこに置いているかが明確
- 自己資金が十分に確保できている
- ”自己資金+融資”の使い道を、数字でもって説得力をもって説明できる
- 軌道に乗った後の利益の出る体制が無理がなく明確である
- 斯業経験、自己資金、起業の動機、他者との差別化認識、事業計画、利益計画などの整合性が取れている
- 最悪の場合、どうするか考えている