経営数字をまとめたとして、それを具体的に経営判断にどのように活かせるのか。
松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。
目次
こんなときどうする?
以下のようなとき、何を判断の根拠にすべきか。
- 収支分岐点となる売上はいくらか
- 利益が出る売上はいくらか
- 不採算先へ販売単価見直し交渉を行った場合、どれくらい利益に影響があるか
- 仕入・外注の単価減額交渉で、どれくらい利益に影響があるか
- 仕入をまとめることでの仕入単価引下げ交渉で、どれくらい利益に影響があるか
- 在庫管理を徹底することによるロス・二重仕入減少で、どれくらい利益に影響があるか
- 粗利率を変えずに売上を増やした場合、どれくらい利益に影響があるか
- 追加で従業員を採用した場合、売上がどれくらい増加すると採算が取れるか
- 広告宣伝費を増やした場合、売上がどれくらい増加すると採算が取れるか
- 削減しても売上高に影響しない固定費はあるか
- 設備投資・店舗移転による売上・利益見込みで、初期投資が何年で回収できる見込みか
上記のことを勘で行うということはなかなか無謀です。
例えば、大手であれば、上記のような戦略的な決定に際しては十分なコストを投下し、緻密に行っているものです。
事業においては大手か中小かどうかは関係なく、お客様にとって価値あるものが選ばれるものですし、中小企業においては無謀が通用するかというと難しいものです。
かといって、我流での計算で進めた場合、盲点がないかどうか不安がつきまといます。
経営数字がまとまっていると、根拠が分かる
経営数字がまとまっていると、上記のような経営判断に対して、より確実な根拠を持つことができます。
全体の仕入・経費・税金・借入返済額などの支出から逆算することで、収支分岐点となる売上・利益が出る売上を知ることができます。
単価や数量の変化によって、売上や仕入がどうなるかも知ることができますし、そのことが利益や資金繰りにどのように影響を与えるかを知ることができます。
増加する支出が分かれば、逆算することで増加売上目標の目安を知ることができます。
自信をもって事業への投資判断をすることができる
影響する金額が分かれば、実際に行動を起こす確実なモチベーションになります。
行動に対して思ったほどの効果が見込めないことが分かれば別のことに時間を使ったほうが有益と判断するきっかけにもなります。
影響する金額が具体的に分かることで、目標や課題が明確になり、”お金に対する漠然とした不安”は少なくなり、自信をもって投資判断をすることができると考えられます。