事業における「お金」とどのように向き合えばよいのか。
今井孝著「 起業1年目のお金の教科書(かんき出版)」を参考として。
お金に対する”自分の感情”を整理する
お金には”感情”が伴っているものです。
自分が持っているその”感情”を知ることで、客観的になれるという面があります。
生きるうえで、自分自身が何をしているときが満たされるのか。
意外と、”お金さえあれば”というものではなく、”いつもの日常”によって満たされていることに気づきます。
”お金さえあれば”というもの、手が届くものであればすぐに買ってみることで自分の感情を知る機会ができるものですが、意外と買ってみると感動はひとときのものであまり長く続くというものが少ないものです。
反面、お金があってもなくとも欠かさずに手元にある日常、例えば、誰かと過ごす時間であったり、自分がリラックスできる趣味などは満足度が高く、かつ、その満足感は長く続くということもあります。
”お金さえあれば”という感情について、一度、整理してみることで、自分自身のお金とのスタンスを確認することができるように思われます。
「お金」=「価値交換の道具」
「お金」とは「価値交換の道具」であると考えると、余計な感情が入らずに考えることができるかもしれません。
「お金」と「価値」とを交換し、その「価値」を元手に再び「お金」を得て、さらにその「お金」を「価値」と交換する。その繰り返しであるということ。
よほど人を騙そうと考えない限りは、「お金」は「価値」と交換されます。
人がお金を出して何かを得たいという場合、その対象には、自分にとって”価値がある”と思えばこそ、お金を出そうと決断します。
他人の役に立つことが、イコールお金に替わる、という感覚。
そう考えると、現在お金を持っているという人は、”他人の役に立つために努力し、苦労し、リスクを取ってきた過去がある”という面もあわせて見通すことができ、他人を見る目をニュートラルにすることができます。
ただし、一方で、あくまで”道具”であるので、お金が人格の高さを図るバロメーターにはなり得ないということも、知っておきたいところです。
評価を他人に依存しない
お金を稼ぐことが、他人からの評価を上げたいからという動機であると、感情が不安定になりがちです。
事業を行う限り、いいときも悪いときもあるからです。
一方、他人からの評価を上げるために事業を行うのではなく、それそのものを行って他人の役に立つことそのものが自分にとって満足であるということ、つまり、”自分からの評価を上げたいから”ということであれば、評価を他人に依存することがなく、感情面でも安定することができると考えられます。
お金は経営資源のひとつで、事業で避けて通ることができない
事業のことを考えることは、おのずと、お金のことを考えること、にも密接に繋がってもきます。
他者から見るとお金のことばかりを考えているように思われるのではないか・言われるのではないか、と考えて不安に思う・浅ましく思うこともあるかもしれません。
一方で、事業において、お金は経営資源のひとつであって、お金のことを考えるのはごく自然なことであるともいえます(逆に、お金のことを考えずに事業を考えることは危険であるともいえます。)。
その事業そのものが他人に役立つもの・社会をより良くするものなのであれば、楽しく健全に事業を考えることができるものですし、経営資源として当然考えるべきことは考えるべきと思われます。
周囲の成功は、自分の成功にも繋がる
周囲が成功すると、なんだか比較してしまって、自己嫌悪になったり、他人が妬ましくなったりもするものです。
一方で、周囲に、成功するほどのスキルや能力を持った人がいるということは、望ましいことであるともいえます。
自分が何かをしようと思うとき、その周囲の力を借りながら、進むこともできるからです。
そう考えると、自己嫌悪になったり妬ましく思うことなく、自分も周囲も助け合いながらともに発展していくほうが自分にとっても近道であると考えることができます。