開業freeeを使って税務署への開業届書類一式を作成してみました。
結論。すごくよくできていると思います。
簡単な質問に答えていくだけで、届出書類が出来上がりますし、どこに押印すればよいかなどの説明も細かくフォローされており、税務署郵送ラベルも出来上がります。
さらに、その後の印鑑作成や政府系金融機関(日本政策金融公庫)の創業融資の案内、事業用通帳やクレジットカードなど、開業に必要なものの提案もあります。
一方、後々のことを考えて、税理士などの専門家にチェックしてもらった方がよさそうな項目なども、私見で考えてみました。
開業freeeを使ってみる
開業freeeとは?料金はかかるの?
開業freeeとは、会計ソフトベンダーfreee株式会社が提供している税務署へ開業時に提出すべき届出書の作成ツールです。
非常にハイクオリティですが、無料で使えます。
もちろん最後の方に、会計ソフトとしてfreeeを使ってね、という宣伝などはありますが、強制ではありません(特にしつこく勧められるわけではありません。)。
簡単な質問といっても、本当に簡単なの?
具体的にどんな質問なのか、リスト化してみました。
簡単ではありますが、正確な書類を作るためには、正確に答える必要があります。
1)どのような仕事をする予定ですか? していますか?
2)その仕事はいつから始めますか? もう始めていますか?
3)収入はいくらくらいになりそうですか? 目指していますか?
4)どこで仕事をしますか? していますか?
5)従業員や家族に給与を支払う予定はありますか?
6)屋号があれば入力しましょう
7)申請者の情報を入れましょう
8)収入(所得)の種類を選びましょう
9)確定申告の種類を選びましょう
分かりやすく噛み砕いた表現で書かれています。
「収入(所得)の種類」「確定申告の種類」などは、迷うかもしれません。
こういったところは調べたり相談しながら作成した方がよいでしょう。
実際の画面を見てみる
トップ画面はこんな感じです。アカウントを作成する必要がありますが、Googleなど他のアカウントで作成することもできます。
質問その1です。
質問その2です。
※確定申告の種類ではパターン別の試算が出ます。
出来上がりです。
提出先は自動選択されているので確認のみ。
書類の中身を確認して(郵送ラベルも同時印刷されます。)提出方法を選択します。
押印箇所、マイナンバーの記載箇所の説明もあります。親切です。
以下は、会計ソフト(freee)の提案、印鑑、公庫の創業融資案内です。
前画面に引き続き、通帳カードの作成案内などです。
実際に印刷された帳票です。
書類内訳の解説、郵送ラベル、押印箇所・マイナンバー記載箇所の解説があります。これも親切。
今回作成した実際の届出書はこんな感じです。
読みづらいと思いますが、念のため最終チェックはした方がよいです。
前画面に続き、今回作成した書類その2です。
税理士以外の事業者が開業freeeを使う場合、専門家にチェックしてもらった方がよいかもしれないと考える点
誰にチェックしてもらえるか?
税理士、税理士会の無料相談、最寄りの商工会議所などを調べてみましょう。
上記にハードルを感じれば、まずは市役所の相談窓口を調べて、利用するのがよいでしょう。
例えば、長崎市であれば、市役所に相談窓口があり、創業に関する支援機関を紹介してくれます。→ガイドブック
佐賀県武雄市も、市役所に相談窓口があります。
書類の期限は大丈夫かどうか
開業関連の届出書で、節税という観点で最も重要な届出書として「所得税の青色申告承認申請書」という書類があげられます。
この届出書の効力によって、収入から控除できる金額が確保され、節税につながります。
こちらの申請期限は、原則として「その効力の恩恵を受けたい年の3/15まで」となっています。
1/16以降に事業を開始した場合はどうなるかというと、「事業開始日から2ヶ月以内」となります。
超重要なので、注意しましょう。
その他の届出書の提出期限も確認しておいた方がよいでしょう。
絶対的な期限なものもあれば、融通の利くものもあり、そのあたりの対応は慣れている専門家のサポートがあった方がよいと思います。
「どこで仕事をしますか?」は正確に記入するに越したことはない
税務署へは、基本的に、自身の中心となる所在地の登録は1ヶ所のみです。
自宅なのか、お店・事務所なのか、になります。
お店・事務所があるのであれば、お店・事務所にすることになりますが、まだ決まっていない場合、いったん自宅で届け出をすることも考えられます。
もしいったん自宅で届け出た場合、お店・事務所が決まった後で、そのお店・事務所で登録し直したいと考える場合、変更のための届出を出すことになります。
手間にならないよう当初から計画的に届出書を提出した方がよいと思います。
「従業員や家族に給与を支払う予定はありますか?」は正確に記入した方がよい
開業当初からスタッフへの給与や家族への給与がある場合、出すべき届出書があります。
提出漏れとならないよう、当初から計画的に届出書を提出した方がよいと思います。
収入(所得)の種類について、迷うケースは出来るだけ確認
事業をしているか、不動産賃貸収入があるか、山林の譲渡なのか、の区分けなので、迷うケースは少ないかもしれません。
しかし、例えば、駐車場のために土地を貸しているのか、実際にその土地に駐車場設備を設置して利用料をもらうのか、など、どちらに該当するか確認した方がいい場合もあり得ます。
ここは厳密でなくてもよいですが、確定申告後、税務署から確認の連絡が来ないとも限りませんし、正確に越したことはないのでは、と思います。
確定申告の種類を、節税額のみで判断するかどうか
種類としては、白色申告、青色申告(10万円控除)、青色申告(65万円控除)、と種類があります。
節税額だけで判断すると、青色申告(65万円控除)の節税額が最大になります。
ただ、その場合、提出する申告書の作成には負担感が出てきます。
生じる手間・ストレスに見合うのかどうか、税理士に作成を依頼することにするとしてどの程度のコストになるのか、も勘案した方がよいと思います。
出力された書類で届出書類は足りているかどうかの確認は重要
「出力された書類の内訳」にチェックリストがあると思います。
今回の質問に応じて必要な書類にチェックが入っています。
しかし、主に、従業員に給与を支払うか?家族に働いてもらって給与を支払うか?スタッフの給与から天引きした所得税をどのように納税するか?などによって、提出すべき届出書が変わってきます。
最終的に、提出すべき届出書が足りているかどうかの確認が必要かと思います。