人数の多い会社ほど”社内合意”のためのエネルギーが必要

お客様起点で価値ある商品・サービスを考えるということ、人数の大きな会社ほど難しさを伴うものです。

森岡毅著「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方-成功を引き寄せるマーケティング入門-」(角川書店)を参考として。

目次

お客様の価値・個人の利害・部門の利害・会社の利害

お客様起点で、商品・サービスを考える。

シンプルなようで、現実には難しいものです。

それは、人数が多く、組織が大きければ大きいほど難しくなっていく傾向があります。

そもそものところで、「お客様にとっての価値(利害)」と「個人の利害・部門の利害・会社の利害」が相反しているのが通常です。

まずもって考えてみると、個人が会社に就職するとき、「お客様にとっての価値」を何より第一に掲げて入社する人というのは稀です。

自分にとっての”やりがい”、”給与の金額や会社の待遇”、”生活の安定”、”自己の成長”、”自己のキャリア”を胸に入社します。

その時点で、最優先にすべき「お客様にとっての価値」とはズレたところからのスタートになっています。

大きな会社になればなるほど必要な”社内合意”

前述のとおり、スタート時点から「お客様にとっての価値(利害)」と「個人の利害」とがズレてスタートしていることが一般的です。

そこからさらに、人が集まれば集まるほど、会社内の部門間の利害、会社の利害といったものがが積み重なり、入り乱れ、いつの間にか、「お客様にとっての価値」の優先順位が下がってしまいます。

みんなにとっての”合意”を取るために、それぞれの部門間の利害の調整に走り回るなかで、当初はお客様起点で考えた「お客様にとっての価値」があったとしても、その調整のなかで、いつしか”落としどころ”となり、時間も膨大にかかっていたりもして、結果として、お客様にとって価値の低いものになってしまいがちな傾向があります。

ブレずに”お客様にとっての価値”を求める困難さ

そう考えると、本当の意味で”お客様にとっての価値”を求めるということは、とても難しいものだということに思い知らされます。

会社にとっても最も重要な戦略である「マーケティング」を担う部門が、たとえ”お客様にとっての価値”を考えたとしても、それをブレずに社内調整する必要性が出てきます。

これには、特に中規模までの会社であれば、経営者自らがマーケティングを担当し(または統括し)、自ら現場を目にして、お客様起点で「お客様にとっての価値」は考え、目標を立て、戦略を練り、強い意思でそれを進めていくことでしか抜本的な解決策はないように思います。

そのような意味では、社内合意の調整が少なくて済み、意思決定の速い小規模企業の方が、スピード感をもって手を打つことができる余地があると感じます。

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