経営数字を勉強しようとすると”教科書的”なものになりがちですが、”自分ごと”で考えることができなければ経営に役立てることができません。
小山昇著「社長!儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!」(すばる舎)を参考にして。
教科書と実践は別もの
経営数字の勉強をしようとすると、立ちはだかる大きな壁があります。
それは、大体の経営数字に関する書籍等は、”教科書的である”ということ。
目の前の事業活動に忙殺されながら経営数字のことを知ろうとして、それが”お勉強”になってしまうと、長続きできません。
いつしか経営数字のことを知ることをやめてしまい、”どんぶり勘定”に陥ってしまいます。
実践で生きる「経営数字」は、書籍等からさらに自分の事業に実践的に当てはまるようにカスタマイズされたものである必要があるのです。
「売上」は「利益」ではない
例えば、「売上」は「利益」ではありません。
教科書的にいえば、「売上」に対して、「利益」は売上から原価や経費を差し引いたものなので、まったく別のものであり、当たり前のことなのですが、現実には錯覚してしまいがちになるものです。
売上が上がると、利益も上がったような気になってしまって、ついお金を使ってしまった結果、支払いのためのお金が足りなくなるということ。
ちょっと待てよ、「売上」が増えれば、粗利率も維持できているか、原価も増えているはずだ、固定費も増えているかもしれない、ということが”自分ごと”として理解できていてはじめて、「売上」は「利益」と違うのだと腹落ちして理解することができるようになります。
粗利額と粗利率
「売上」だけを見てしまうと、多くの弊害があります。
「売上」だけを見てしまうと、ともすると社内は値引きしてでも売上を上げればよい、ということになりがちです。
現実には、経費などを支払うための「粗利」が稼げていなければ、事業を継続することはできないのです。
「粗利額はどうか」「粗利率はどうか」ということもあわせて見ていく必要があるのです。
では、次に、「粗利額」「粗利率」をどう使い分けるか、ということも考えなくてはいけません。
まず重要なのは、自社の事業の継続に必要な収支分岐点となる「粗利額」はいくらか、を理解する必要があります。
そして、自社の現状がその「粗利額」を達成できているかどうかを確認したいところです。
達成できていないとしたら、「粗利率」を見るというよりも、そもそもの事業自体(誰に、何を、いくらで、どう売るのか)を見直す必要が出てきます。
達成できている場合は、それを「粗利率」を見てコントロールしていきます。
値付けは適切か、安易な値引きをしていないかをチェックしていくことになりますし、自社の状況によっては、ロスになるくらいなら値引きしてでも売った方がよい場合ということもありえます。