”何を売るか”と聞かれると、自社の商品・サービスを答えるのが一般的です。しかし、それは”手段”であって、その”手段によってお客様が得られる感情”こそを売るのだ、という着眼点を持ってみることが重要といえそうです。
森岡毅著「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方-成功を引き寄せるマーケティング入門-」(角川書店)を参考として。
”ドリルと穴”の例
マーケティングを考えるうえで、有名な話があります。
「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく穴である。」
よく聞かれる格言だと思うのですが、この格言の意味を、自分自身が分かっているようで分かっていないと感じる出来事がありました。
それは、以下の質問を投げかけられたときです。
「あなたの会社は何を売っていますか?」
何の疑問もなく”自社の商品・サービス”を思い浮かべたのですが、それでは冒頭の質問の意味合いを腹落ちして理解できていないのだ、ということに気づかされました。
何を売るか、の着眼点
「あなたの会社は何を売っていますか?」
と聞かれると、自社の商品・サービスを思い浮かべがちです。
しかし、お客様が欲しているのは、その商品・サービスを体験した結果として得られる”感情”だということ。
それが、”安心感”なのか、”感動”なのか、”楽しさ”なのか、”信頼”なのか。
売り手がお客様に売るものとして、そのお客様への”感情”を明確にイメージできているかどうか、これは大きな分かれ目だと感じます。
商品・サービスは”手段”であって”目的”ではない
まず、”目的”として、自社がお客様へ届けたい「感情」があって、自社の商品・サービスというのは、それを巻き起こすための「手段」にしかすぎない、ということです。
それが”何を売るのか”ということ、の意味合いでもあります。
自身がお客様側になるとよく理解できる
これは、自身がお客様側になるとよく理解できます。
例えば、プレゼントを探すために小売店に行き、商品の前で悩んでいるときに、店員さんから以下のような声かけをされたとします。
A:「この商品、いいでしょう。この商品は~」
B:「プレゼントをお探しですか?」
上記2通りの声のかけられ方がありえます。
お客様側になると、かけられた側の心情が理解しやすくなります。
Aのような声のかけられ方をしたとしたら、多くのお客様はその場から立ち去るかもしれません。
一方、Bのような声のかけられ方をしたとしたら、その店員さんに相談する可能性が高く、その商品ではないかもしれませんが、結果としてそのお店で購入する可能性は高いものとなります。
つまり、お客様が購入するときには、その商品そのものが欲しいというよりは、自身の必要性や欲求を満たしてくれるかものがあるかどうか、という物差しで考えているという事実です。
何を売るか、の具体例
お客様自身が自身の必要性や欲求を明確に認識していない、という場合もよくあります。
なんとなく満たされるからその商品・サービスを選んでいる、という場合です。
しかし、売り手側は、お客様側へ提供している「価値」を明確に認識できているほうが望ましいということはいうまでもありません。
明確に認識していればこそ、その「価値」を達成するためのブレない判断の積み重ねをしていくことができ、結果としてそれがその商品・サービスのブランドを形成していく、という流れを作っていくことができるためです。
具体例を、 森岡毅著「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方-成功を引き寄せるマーケティング入門-」(角川書店) からまとめてみました。