本日付けのニュースで、令和2年分の確定申告の期限を4/15までとする方針が新聞報道されました。
一方で、コロナ禍ということもあり、税務署などの確定申告会場には赴かず、確定申告書をPCやスマホで作成し、郵送・e-taxで提出する方も多いと思います。
PCやスマホで、確定申告期間(2/16~3/15)より前に確定申告書が出来上がった場合、どうなるのでしょうか?
確定申告期間とは
確定申告は、提出する期間(受付期間)が法律で定められています。
第百二十条 居住者は、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が第二章第四節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を第八十七条第二項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして第八十九条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるときは、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。この場合において、その年において支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等で第百九十条(年末調整)の規定の適用を受けたものを有する居住者が、当該申告書を提出するときは、次に掲げる事項のうち財務省令で定めるものについては、財務省令で定める記載によることができる。
所得税法120条より(太字・マーカーなどの加工は筆者)
(以下略)
所得税法120条では、確定申告書はその年の翌年2/16から3/15までの期間に、税務署に提出しなければならないこととされています。
一方で、確定申告書作成のためのソフト(国税庁の確定申告書等作成コーナーなど)は、年明け早々には作成することができるようになるため、2/16より前に確定申告書を仕上げてしまうこともできます。
確定申告期間前に確定申告書が作成できた場合
確定申告期間(2/16~3/15)よりも前に確定申告書を作成して提出した場合、期限内申告として扱ってもらえるのでしょうか?提出を2/16まで待たなければならないのでしょうか?
その必要はありません。
所得税基本通達(行政機関の内部規定)が国税庁のホームページで公開されています。
(2月15日以前に提出された確定申告書の受理)
所得税基本通達120-2より(太字・マーカーなどの加工は筆者)
120-2 その年分の確定申告書(法第120条第8項及び第122条第1項《還付等を受けるための申告》に規定する申告書を除く。)がその年の翌年2月15日以前に提出された場合には、当該申告書は通則法第17条第2項《期限内申告》に規定する期限内申告書に該当するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46、平29課個2-13、課資3-3、課審5-5改正)
2/15以前に提出しても、期限内申告に該当するとする取扱いがなされます。
解釈としては、2/15以前に申告書が提出されたら税務署はその申告書を”預かって”おき、2/16に受け付ける、という建付けです(窓口提出、郵送、e-tax、いずれも同様の取扱い)。
一方、上記のような運用であるので、留意点もあります。
2/15以前に提出・納税したからといって納税証明書がその分早く発行されるようになるわけではない、ということです。
この点、最新の納税証明書が必要な場合は留意が必要です。
還付申告については、そもそも1月からOK
上記は、納税となる申告の場合でしたが、還付となる申告の場合には、そもそも法律的に1/1から提出が可能とされています(所得税法120条8項)。
逆に、還付の場合は、納税となる申告の受付処理が入る前(2/15以前)に申告しておくと、まだ税務署の事務処理期間が混んでおらず、申告してから還付となるまでの期間が短くなるので、早めに申告してしまった方がよさそうです。
令和2年分確定申告の留意点
令和2年分確定申告については、特に留意点があります。
もし令和元年分確定申告がまだである場合、令和元年分確定申告書を提出する前に、令和2年分確定申告書を提出すると、「期限後申告」という取扱いとなり、ペナルティー(無申告加算税、延滞税)の対象となる場合があります。
令和2年分確定申告書が提出できるのであれば、当然、令和元年分確定申告書はその前に提出できるでしょう、という話ですね。
令和元年分確定申告がまだである場合、遅くとも、令和2年分確定申告書と同時に提出するようにしましょう。