他人から答えや結論を与えられるよりも、自分で答えや結論を出した方が行動が速い、ということは確実にいえます。
和仁達也著「コンサルタントの対話術」(かんき出版)を読んで学んだこと、キャッシュフローコーチとして感じたこと。
他人から与えられるもの、自分で出した結論
体感として、例えば、親などから与えられた高価なプレゼントよりも、自分のなけなしのお金を貯めてやっとの思いで買った物の方が価値を感じます。
大学の学費は親から出してもらいましたが、大学院の学費は自分のお金からでしたので、勉強への必死さ・吸収しなければもったいないという気持ちがまったく違いました。
「他人から与えられた答え・結論」よりも「自分で出した答え・結論」の方が、そのプロセスなども含めてしっかりと自分のなかに根付いていて、着手や行動も速い傾向があるということは確実にいえそうです。
”他人から与えられた結論”というものは、ただの”きっかけ”に過ぎず、自分のなかではまだ”結論”ではないのだと思います。
自分のなかに、向かっていくための物語(ストーリー)ができあがって腹落ちするからこそ、腹が座り、覚悟も決まり、迷いなく行動を起こしていくことができるのだと思います。
自分で出した結論は、行動が速いのです。
”自分で決める”をサポートする
経営においても、他人からの意見は”きっかけ”に過ぎません。
その”きっかけ”をもとに、自分のなかにストーリーができあがり、プロセスを踏み、腹落ちして結論を出せなければ、他人の意見というものは流れていってしまいます。いまいち行動に起こすにもモチベーションも上がりません。
一方、経営を動かすには、行動が欠かせません。
何もしなければ何も変わりませんが、手数を打っていけば打開策が見つかる可能性が出てきます。
答えの決まっていること・手続関係・前提がある程度決まっている試算などであれば、一定の精度での答えを出すことができますし、その答え・結論を提供するようにしています。
ただ、経営に関することは、答えの決まっていないことがほとんどです。
そのモヤモヤのなかを切り裂いて進んでいくには、何よりも、「自分で結論を出す」ことが重要です。
経営に必要な”行動のスピードや手数”に大きく影響するからです。
その会社の経営者でない立場として、このような局面で相手のお役に立つためには、その”自分で決める”を、いかにサポートできるかが重要だと感じています。
プロセスを共有する
では、”自分で決める”を、どのように具体的にサポートするか。
相談され、その答えを伝えるときには、その答えに至った「プロセス」を共有するようにしています。
どのような観点から検討していき、結論に至ったのか。
いきなり答えや結論を伝えても、相手のお役に立てないこともあります。
また、すぐに結論を伝えた場合、聞き手が”自分は長時間かけて悩み抜いたことなのになぜ少し聞いただけで結論を出してしまうのか、本当に考えてくれたのか”と感じるものです。
プロセスをひとつひとつ検討し、一緒に考えた上で、結論を出していけば、相手のなかにもストーリーを作っていくことができます。
そのためには、まずは自分が多様な着眼点を持つべく努力をすることが不可欠で、日々トレーニングです。