成年後見制度を受け、成年後見人をつけている成年被後見人の方に確定申告が必要になる場合、確定申告書にはどのように書けばよいかまとめてみました。
成年後見制度とは
成年後見制度とは、高齢者の方が認知症となったこと等により判断能力が不十分な場合に、
家庭裁判所の審判に基づき、本人(成年被後見人)に代わり、裁判所に専任された成年後見人が
本人の財産に関する法律行為を行う制度です。
当事務所では、成年後見人に専任された弁護士の先生から、この成年後見に関する確定申告のお話を受けることが多いです。
成年被後見人が確定申告する必要があるケース
成年被後見人の方が確定申告を必要とするケースは、主に以下が考えられます。
- 保険の満期・解約による満期保険金・解約返戻金の収入がある場合
- 不動産の賃貸収入がある場合
- 不動産の売却がある場合
確定申告書の書き方の注意したいこと3つ
日本税理士会連合会より、成年後見Q&Aなどが出されており、参考にすることもできます。
納税地、所轄税務署
納税地
本人の住所地
※施設入居で住民票が施設に変更されている場合は、施設の住所地
所轄税務署
本人の住所地の所轄税務署
申告書の住所、申告書の氏名、申告書の押印
住所
成年被後見人と成年後見人の住所を併記
例)
成年被後見人の住所
成年後見人の住所
氏名
成年被後見人の名前の後に、「成年後見人 〇〇」と記載
例)
乙野花子 成年後見人 甲野太郎
押印
成年後見人の印鑑を押印
特別障害者控除の適用
成年後見人については、「特別障害者控除」の適用が可能
成年後見の登記情報が記載されている登記事項証明書を添付
(毎年提出している場合は、管轄税務署によっては、2年目以降の添付を省略を認めてくれる場合あり)
【控除額】
別居の場合、40万円
同居の場合、75万円
申告書例
※その他注意したいこと
「納税管理人の届出」を出す余地
「納税管理人の届出」を出せば、税についても納税義務者本人に関する一切の手続きを代理することができます。
税務署からの書類の送付などを成年後見人の住所に直接送付して欲しい場合など、活用の余地があると思われます。
振替納税や還付の場合の口座
申告書の名義と揃えている必要があります。
居住用不動産の譲渡の特例
施設入居により、特例が受けられない場合があることから、注意が必要です。