新型コロナウィルス感染症の影響で収益が減少している医療機関(クリニック、病院)・福祉施設については、独立行政法人福祉医療機構が、政府の予算を受け、特別貸付を用意しています。
さらに、2020年9月には、二次補正予算を受けて、融資限度額が拡大されています。
独立行政法人福祉医療機構というと、これまでは大きめな病院向けの事業が多かったイメージがありますが、クリニック(個人開業医、医療法人、株式会社などで福祉施設を経営している事業者など)なども検討が可能になっています。
独立行政法人福祉医療機構のコロナ優遇融資
独立行政法人福祉医療機構とは
独立行政法人福祉医療機構とは、厚生労働省所管の独立行政法人です。
1954年に設立された社会福祉事業振興会と、1960年に設立された医療金融公庫が、1985年に合併して作られた社会福祉・医療事業団が独立行政法人に移行して設立されたもので、①病院・診療所・社会福祉法人などへの資金貸付、②社会福祉施設職員等への退職手当共済制度などを主な業務としています。
国は、新型コロナウイルス感染症対策関係の予算で医療機関への支援を実施しており、こうした国の意向を受け、融資面で支援を担っているのが独立行政法人福祉医療機構です。
融資制度の概要
独立行政法人福祉医療機構は、2020年2月より、新型コロナウィルス感染症対応支援資金の取扱いを行ってきています。
この取扱いは、国の補正予算を受けるたびに増強され、更新されています。
直近でいえば、9月15日に更新・制度拡大されています。
すでに福祉医療機構から融資を受けている事業者も、更新のたびに、融資条件などの緩和などでのカバーが発表されることもあり、かつ、民間金融機関のようにマメな情報提供のフォローはないと思われるため、動きに注視しておいた方がよいと思われます。
医療関係施設向け
詳細について→こちら
福祉関係施設向け
既に新型コロナウイルス対応支援資金の融資を受けている事業者への手当(融資条件の遡及)
既に新型コロナウイルス対応支援資金の融資を受けた事業者についても、9月15日付拡充の融資条件を遡及する旨の発表がなされています。
詳細→こちら
ポイント
新型コロナウィルス感染症により前年同期比で減収・利用者減少していれば、利用可能
制度が出たての頃は、新型コロナウィルス感染症による事業停止等といった要件が前面に出ていましたが、現在は減収・利用者減少が生じている場合は、比較的広く認められています。
実績でいえば、前年同期比5%以上減少で申込み可能という回答を得たことがあります。
まずは、新型コロナウィルス感染症の影響によってなんらか「減少」していれば、電話にて相談してみるとよさそうです。
貸付限度額
例えば、クリニック(診療所)であれば、4,000万円が限度とされています。
前年同期比30%以上減収であれば、5,000万円が限度となります。
福祉関係施設であれば、6,000万円が限度とされています。
通常の銀行借入であれば、月商の〇倍などの目安がありますが、本制度の場合は、全体の規模感や経営状況とのバランスにもよるものの、かなりの確率で限度額での融資を認めてもらえる印象があります。
貸付期間
貸付期間:15年
※うち、元本据置期間を最長5年まで認められることがあります。
元本据置期間について、民間金融機関でも1年程度が目安とされているなかで、最長5年は非常に長く取ることができるようになっています。
利率
当初5年間:無利子
6年目以降:0.2%(要保証人)
※保証人不要制度を活用する場合、医療+0.15%、福祉+0.05%
金利も、5年間無利子で、無利子期間が日本政策金融公庫などの3年よりも長いです。
それ以降の0.2%~0.35%は、日本政策金融公庫などでの基準利率(1%台前半ほど)と比較してかなりの低金利です。
まとめ
医療機関や福祉施設で、新型コロナウィルス感染症によって影響を受けている場合には、ぜひとも検討しておきたい融資制度ですし、今後の動向にも注視しておきたいものです。