商品力がよくとも、他社と差別化したあれこれの作戦を考えたとしても、お客様への接し方が悪く、コミュニケーションがうまくいかなければ、良い関係を作ることができず、発展していくことができません。
竹田陽一、栢野克己著「小さな会社★儲けのルール ランチェスター経営7つの成功戦略」(フォレスト出版)を参考として。
大企業(強者)に対し、中小企業(弱者)が取るべき戦略の基本
軍事戦略であるランチェスター戦略によれば、戦闘力(兵器の性能×兵士の数)に勝る強者に対し、戦闘力が劣る弱者が取るべき戦略の基本は、以下とされています。
(弱者が取るべき戦法)
(強者が取るべき戦法)
- 地域や客層を限定し、局地戦・接近戦からの一点集中突破を図る
- 一騎打ちに持ち込めば確実に勝てるよう、武器(商品力)などの差別化を図る
物量において勝る大企業(強者)に対して、中小企業(弱者)は、「接近戦」「一騎打ち戦」に持ち込むことで勝っていく必要があります。
物量で解決しづらい分野(接近戦・一騎打ち戦)
接近戦・一騎打ち戦において、大きな武器のひとつとなるのは、”お客様とのコニュニケーション”に他なりません。
”お客様との距離感をより近くし、個別の事情・状況を把握したうえで対処する”ということは、大企業の効率的に稼いでいく体制(より広域に対しての確率の高さで営業や経営を考える体制)において、最も漏れやすい部分だからです。
コミュニケーションは、最大の差別化の余地のある部分
目指すところ
お客様とのコミュニケーションにおいて、目指すところは、シンプルに、以下であるということがいえます。
- 競合よりも、お客様から好かれる
→新規来店・問合せに対する対応において、好きになって頂き、注文して頂けるようにする - 競合よりも、お客様から気に入られる
→注文後の対応において、気に入って頂き、継続的に注文してもらえるようにする - 競合よりも、お客様から忘れられないようにする
→その後の付き合いも良好にし、他の方にも紹介してもらえるようにする
流れをイメージする
- 初めての方に好きになってもらい、初注文してもらう(「お客様」になってもらう)
- 注文後も気に入ってもらい、継続的に注文してもらう(「リピーター」になってもらう)
- リピーターの方に、他の方へ紹介してもらう(「ファン」になってもらう)
ステージ別で気をつけるべきところ
「お客様」になってもらう
放っておくと、人間は自分のことしか考えない
放っておくと、人間は、自己中心的にしか考えないものです。
よほどの場合でない限り、他人のことを考えていることはなく、基本的には、自分のことだけを考えてしまいます。
ということは、”お客様目線で”といるためには、定期的・強制的に、他人目線で考える機会を作る必要があるといえます。
つまり、定期的・強制的に、言葉に出し、言葉で書き、お客様と接するなかで他人目線での気づきを考える機会を持つ必要性があるということです。
お客様の声を考えてみる
お客様の声に触れるには、直接現場に出て実際に感じるということが重要です。
また、実際にお客様にアンケートをしてみたり、インタビューをしてみたりすることも有用といえます。
意識的に、お客様と直接接する部分を総点検する
- 名刺:社名や連絡先の文字サイズ、住所はイメージしやすい補足書きを検討する、顔写真、名刺の裏はミニカタログと考える
- 封筒:社名や連絡先の文字サイズ、住所はイメージしやすい補足書きを検討する、封筒はミニカタログと考える、手書きメッセージ欄を作るかどうか
- メール:読みやすく、返信しやすい文面になっているか
- 電話:感じのよい対応になっているか
「リピーター」になってもらう
「感謝」とは、「感じたことを言葉で射ること」
「感謝」とは、「感じたことを言葉で射ること」
竹田陽一、栢野克己著「小さな会社★儲けのルール ランチェスター経営7つの成功戦略」(フォレスト出版) のなかで、とても印象に残った言葉です。
感謝は、相手に対して、言葉や行動に出す必要があるということです。
入金後のお礼
特に初取引やスポット取引の後には、入金が確認できたら、「入金後のお礼」を伝えるようにしたいところです。
入金してもらい、心のなかだけで感謝してみても、相手には伝わらないものです。
雨のなかの来社・来店への気配りの言葉
例えば、雨のなか来社・来店してもらったときも、「足元の悪い中で足を運んでくれたことのお礼」を伝えるようにしたいところです。
お客様への「報・連・相」
社内での「報・連・相」はよくいわれているところです。
しかし、お客様に対しても「報・連・相」を徹底すべきといえます。
「ファン」になってもらうために
個別のお客様へ、お役に立ちそうな情報を送る
個別のお客様の状況・事情を把握しておくと、様々な情報に触れるなかで、「この情報は、あのお客様のお役に立ちそう」と思う機会も増えます。
そして、それらの情報は、確実にお客様に伝えていきたいところです。
もしお客様側で知っているかもとためらう必要はなく、そのような場合には、”ご存知かとは思いますが、念のために”と添えればよいだけの話です。