銀行は、貸借対照表をどのように見て、どのようなことを疑問に思うのか。
川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)を参考として。
目次
貸借対照表への見方
銀行が貸借対照表をどう見るか。川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)においては、以下の2点が挙げられています。
- 債務超過でないかどうか
- 借入金規模はどうか
債務超過でないかどうか
”債務超過”とは、会社が持っている資産よりも負債の方が多い状態のことを指しています。
資産よりも負債の方が多い場合、保有している資産でもって負債の返済がすることができない状態であるともいえるため、銀行としては返済能力に対する疑問を持つことになります。
この債務超過は、貸借対照表の右下部分にある「純資産」がプラスかマイナスかですぐに分かるようになっています。
銀行では、さらに一歩進んで、貸借対照表の中身の資産を精査し、資産としての中身があるかどうか(換金価値があるかどうか)を見て、中身のないものがあればそれを差し引いた状態で、実質的な債務超過でないかどうかを見るといわれています。
「純資産」がプラスであることの尺度を自己資本比率といい、これが高ければ高いほど、財務状態が安定していると考えられています。
借入金規模はどうか
その会社にとって、今ある借入金は多すぎる状態か、少ない状態か。
これは、会社の月商との関連性のなかで考えられることが多いとされています。
川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)においては、月商と借入金規模との関連性を以下のように整理されています。
- 「借入金」が「月商」の2ヶ月分以内 → 少ない・ちょうどいい状態
- 「借入金」が「月商」の2~4ヶ月分 → やや多い状態
- 「借入金」が「月商」の4ヶ月分以上 → 多い状態
これには、預金残高の多寡も加味されるといわれています。
預金残高と借入金との差額が、”実質的な借入金”といえるためです。