中小企業が融資を考えるとき、金融機関の選択肢としてどのようなところがあるのか。
松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。
目次
概観
中小企業が融資を考えるときの金融機関の選択肢として、以下のようなところが挙げられます。
- 日本政策金融公庫(国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業)
- 信用金庫、信用組合
- 地方銀行
- (都市銀行)
- (商工中金)
- (JAバンク)
- (ノンバンク)
また、保証機関として、「信用保証協会」も欠かせません。
都市銀行(メガバンク)
- 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行
- 営業網が全国に及んでいる
- 事業規模が大きくなるとメインバンクになり得る
- 海外へのチャネルも広く、海外展開を考えるなら付き合うべき銀行
- 多額の資金を低金利で貸せる体力がある
- 接触頻度少ない
- 大口の案件を好む
- 中小企業への融資は消極的
- 最近では、新設法人支援や子会社を通じて中小企業マーケットに参入しようとする動きもある
- 焦げ付きそうな債権は、比較的早めに債権回収会社へ譲渡する傾向にある
商工中金
- 政府系金融機関
- 信用保証協会の保証が求められることがある
- トラック運送業・運送事業の業界団体の制度融資等もある
- 審査が厳しい(=融資を受けていると他の金融機関に対する信用度が上がる)
JAバンク
- 主に農業事業者への融資
- 農業近代化資金(公庫のスーパーL資金同様に金利0%、原則15年以内)
- 返済:収穫時期の年1回などが認められることがある
ノンバンク
- 預金等を受け入れずに与信業務を行う企業のこと
- 信販会社、クレジットカード会社(消費者向け)
- リース会社、事業金融会社等(事業者向け)
- 業務運営面での自由度が高い
- 比較的スピーディーに融資の可否を決める
- 金利は高い(リスクを取っているため)
- 売掛金・在庫担保融資(ABL)なども扱っている
- 生命保険積立金を担保評価に加えることもある
- 不動産・動産を買い取って同額を融資するリースバック取引もある
- 赤字・リスケ中でも融資を受けられる