銀行とのスタンス①

銀行との関係を円滑にするには、銀行の立場・心情・行動原理を知ることから逆算して考えていくのがよいと思われます。

松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)を参考にして。

目次

関係性を築く

自分以外の他者と”関係性”を築くにあたっては、相手の立場・心情・行動原理に興味を持ち、理解する・理解しようとするところからスタートするように感じます。

銀行との関係においても、まずは銀行の立場・心情・行動原理を知り、そのなかでどのようなスタンスと取るのが最もよいかを考えたいところです。

銀行の立場・心情・行動原理

銀行の立場・心情・行動原理として、以下のようなことが考えられます。

  • 預金者から預金を預り、貸付業務を行って利息収入を得ている。
  • 預金者から預金を預かっている以上、それを毀損するような行動を取ることはできない。
  • より安全性が確保されると感じられるスタンスを取ることになる。
  • 利益が出ている先にほど貸したいと考える。
  • 手元資金が多い先にほど貸したいと考える。
  • 貸しても確実に返済が見込まれる会社にほど融資し、安全な形で利息収入を得たいと考えがち。
  • 返済見込みを知るために、経営者の事業の計画性(資金使途)の有無を重視する。
  • 返済見込みを知るために、より高い精度で予測できるよう計数管理能力の有無を重視する。
  • 他行が貸す判断をした会社に興味がある。
    (貸さないと判断をした会社からできれば引きたいと考える。)

一方で、借りる側は、”赤字になって手元資金に困ったときにほど銀行に相談したい”と考えます。

つまり、上記の銀行のスタンスとは真反対ともいえるといえます。

松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)の言葉を借りると、

銀行が貸したいときに借りられるだけで、会社が借りたいときに借りられるわけではありません。

松波竜太編著・監修、資金調達相談士協会著「中小企業の財務改善ノウハウ」(第一法規)より

というのが現実ということになります。

取るべき基本的なスタンス

上記を踏まえ、銀行との関係性を考えるうえで、会社がどのような状態になっていることが理想か。

  • 利益が出ている
  • 手元資金が多い
  • 銀行にとって”貸さないと損だ・他行にシェアを奪われなくないので貸したい”と思われるようにする

そして、この状態でいるためには、以下のようなスタンスが導き出されます。

「事業での利益が出るよう経営努力しつつ、かつ、銀行からは借りられるときに借りておく。」


”晴れた日に傘を差し出し、雨の日に傘を取り上げる”と揶揄されがちな銀行ですが、その例えで考えるのであれば、会社側の対応スタンスとしては、”晴れた日に傘を何本も借りておき、雨の日にはそれで凌ぐ”ということになります。


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