どのように対価を受け取るか、価格設定をどう考えるべきか。
佐藤義典「ドリルを売るには穴を売れ」(青春出版社)を参考として。
”価値”を届けるための具体的な施策4つ
届けたいお客様のイメージができ、そのお客様に対して、どのような価値(「便利さ」・「質の高さ」・「密着さ」)を届けたいか、それに伴って、自社の経営資源をどこに集中投下すればよいか、がわかってくると、次は、具体的に、どのようにして届ければよいか、を検討することになります。
- 「商品」:顧客へ価値をもたらすための道具・手段
- 「広告」:商品の価値をお客様に伝える
- 「流通」:商品をお客様に届ける経路
- 「価格」:商品の値付け
3)商品の価格(=対価)を考える
商品の価格設定をどう考えるべきかは、経営において最重要のテーマともいえます。
自社の商品をいくらに設定するのが適切なのか?
少なくとも”原価以上であること”がひとつの目安ではあります。
ときには、一時的に原価割れで売る、といった選択肢もあり得るものの、あくまで例外中の例外で取るべき選択肢であるということは、言うまでもないところです。
また、”相場”も目安です。
業界ごとに落ち着いている”相場”を起点として考えてみるのも足がかりです。
「対価」と捉える
価格を、お客様との関係性で考えてみると、「対価」です。
お客様に価値を提供し、その交換として金銭を受け取る、という”関係性”です。
つまり、価格がいくらが適切なのかということは、お客様との”関係性”によって決まってきます。
”お客様にとっての価値”と、”価格”との関係性と言い換えることもできます。
お客様にとってのコストパフォーマンス
”お客様にとっての価値”が高ければ、”価格”が高くともお客様はその対価として支払うでしょうし、
逆に、”お客様にとっての価値”が非常に低くければ、”価格”がいくら低くとも、お客様はその対価として支払うことはありません。
お客様にとって、コストパフォーマンスが取れているかどうか、ということに尽きます。
”対価が高い”とは
価格設定を高くしようと考えれば、”お客様にとっての価値”を適切に作り、適切に伝える、という手順を踏む必要があります。
そこで、やはり参考になるのは、”お客様にとっての価値”とは何か、という原理原則です。
佐藤義典「ドリルを売るには穴を売れ」(青春出版社)でのそれは、戦略を考えるうえで、とても参考になるものです。
「生存」への欲求 | 健康、質のよい睡眠など |
「社会的」な欲求 | 他人との関係性の改善 |
「自己」への欲求 | 安心感、楽しさ、達成感 |
上記を軸に考えてみると、ブランドが確立されていて高額でも売れる商品ほど、上記要素の複数の組み合わせにおいて、高度に満たしていることが分かります。
例えば、ただ性能がよいというだけではなく、自分自身への欲求も満たし、かつ、周囲へ自慢したくなるような社会的な欲求を満たす要素をも高度に満たしているといった場合が多いものです。
経営という観点から
必ずしも価格が高ければ正義というわけでもありませんし、価格が低ければ正義というわけでもないと思われます。
経営を成立させるという観点で考えてみると、売上高はあくまで「単価×数量×リピート」によって作られています。
単価を低く設定したとしても、数量やリピートといった面でお客様からの支持があれば、経営は成立します。
最終的には、自社とお客様との”関係性”において、自社にとってちょうどよい立ち位置を見つけられるかどうか。
自社の思い・ミッション・強み・コンセプトを突き詰めたところに、その立ち位置があるのだろうと思います。