コロナ禍の長崎で創業融資を申し込むと、手続完了までの期間はどのくらいか②

前回記事の②です。

②では、長崎市の制度融資である「長崎市中小企業創業資金」の記載です。

コロナ禍(令和2年6月)のなかで、申込みから着金までどれくらい時間がかかったか。

実際の私の場合の事例です。

※留意点など、思い出した都度、更新して追加していく予定です。

目次

起業・開業時に検討すべき2つの融資制度

開業するにあたっては、やりたいことや理念だけでは当然やっていけません。

自己資金がどの程度あるのか、開業するのにどの程度お金が必要なのか、をよく試算する必要があります。

起業・開業時には、特に初期投資が必要になることが多いですし、融資制度の利用の検討は欠かせません。

融資といっても色々あります。

借りるとして、最もよい条件のものがよいに越したことはありません。

どんな条件だと、借り手にとってよいでしょうか?

できるだけ金利が低い方がいい、できれば無担保や無保証がいい、無理のない返済期間・月返済額がいい、などあると思います。

そのように創業時の融資制度を見ていった場合、大きく分けて、2つの制度が考えられます。

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」など

日本政策金融公庫とは、政府系の金融機関です。

創業者を支援するための融資制度があり、政府系ということもあっての安心感があります。

大きくは以下2種類があります。

1)新創業融資制度

・無担保、無保証
・金利:2%強程度(2020年8月段階)
・融資上限3,000万円
・返済期間:概ね運転資金7年、設備資金20年
・自己資金をどの程度準備できているかの要件あり
・個人で申し込むことができる

2)中小企業経営力強化資金

・原則として、無担保、無保証
・金利2%程度で、新創業融資より低く設定されている(2020年8月段階)
・融資上限7,200万円
・返済期間:概ね運転資金7年、設備資金20年
・専門機関(認定支援機関)を経由して申し込む
※認定支援機関とは、①経済産業省に登録している税理士、②最寄りの商工会議所、③中小企業庁管轄のよろず支援拠点などです。

私は、自身で必要書類の1つである収支計画を立てることができたので、スピード重視で新創業融資制度を選択しましたが、これは、融資条件に加えて、手続きの多寡(=スピード)も判断要素に加え、そのバランスで選択するのがよいでしょう。

地方自治体などが実施する「制度融資」

制度融資とは、地方自治体が、信用保証協会や民間金融機関と連携して実施する融資制度です。

例えば、長崎市の場合は、以下の制度があります。

長崎市中小企業創業資金

・無担保、無保証
・金利1.4%
・信用保証協会への保証料0%(長崎市が全額補給)
・融資上限2,000万円
・返済期間:概ね運転資金7年、設備資金10年

申込みから着金まで(制度融資)

6/15 「創業サポート長崎」「長崎商工会議所」へ相談

制度融資にかかわらず、創業にあたっては、まずは創業サポート長崎へ相談に行きました。

創業サポート長崎は、長崎市役所の商工部産業雇用政策課にある長崎市内での創業に関する相談窓口です。

長崎市内の創業サポートをしている各種機関(長崎商工会議所、日本政策金融公庫、各種銀行、長崎県産業振興財団など)のポータルとなっていて、相談内容によって、様々な機関を紹介してくれます。

案内チラシ

創業サポート長崎ガイドブック

そこで、「長崎市中小企業創業資金」という制度融資に関して相談し、どのような流れで進めればよいか相談しました。

結果、長崎商工会議所の推薦書を発行して頂くのが早いとのこと、同じ建物内にある長崎商工会議所に連絡を取って頂き、往訪しました。

そこで必要書類の説明を受け、受領して帰宅しました。

6/16 「長崎商工会議所」へ必要書類持参、相談

事業計画書の草案は作成していましたので、推薦願・計画書に落とし込んで作成し、市役所にて市税の完納証明書の発行手続きをした上で、長崎商工会議所に再び往訪しました。

日本政策金融公庫の創業融資と併用して進めている場合は、この時点で、その旨をあわせて相談しましょう。

打合せの結果、事業計画で何点か修正が必要なため、後日再び往訪することになりました。

市税の証明書類には、所得証明、課税証明、納税証明、完納証明など様々な種類がありますので、このうち「完納証明」である点に留意です。

慎重を期して、市役所での手続きの際、長崎市中小企業創業資金のチラシなどを持参して、この証明のために必要だ、ということを説明する方が、証明書違いなどがなくなり、確実かもしれません。

また、この完納証明は、市民サービスセンターでは発行できず、市役所でないと発行できないとされているので、この点も留意ですね。

6/17 「長崎商工会議所」にて推薦願を提出

書類の修正を確認して頂き、推薦願いを受理して頂けました。

6/18 長崎商工会議所より推薦書発行のご連絡

電話にて、推薦書が発行頂けた旨の連絡を受けます。

6/19 長崎商工会議所へ推薦書受領、銀行へ面談申込み

長崎商工会議所へ推薦書の受領に伺います。

受領してすぐ、実際にその制度を使って借入れをしたい金融機関へ連絡し、往訪日程を調整します。

6/25 銀行へ相談、保証申込書等受領

銀行へ往訪し、「長崎市中小企業創業資金」という制度を使って借入れをしたい旨の相談をします。

制度融資は多岐に渡りますし、県が出しているもの、市が出しているものなど様々ありますので、やはり「長崎市中小企業創業資金」のチラシを持参して相談した方がスムーズです。

ここで、必要書類を受領します。

信用保証協会からの保証を申し込むことになるので、その保証申込書などの書類を受領します。

6/29 銀行へ保証申込書等提出

書類を作成し、銀行へ提出します。

7/9 信用保証協会より連絡、面談日調整

信用保証協会が保証をすることになりますので、保証審査があります。

信用保証協会と面談日を調整します。

7/13 信用保証協会との面談

信用保証協会との面談です。

場所は、創業サポート長崎、長崎商工会議所が入っているビルです。

この時期、ほぼ毎日のようにこのビルに通っていましたね笑

面談で聞かれることは概ね以下のことです。

  • 略歴(斯業経験)
  • 事業の方針(将来性のある計画かどうか、実現可能性のある計画かどうか)
  • 資金計画の内容(実現可能な売上かどうか、本当に必要な支出かどうか、多額の支出については見積書など内容や金額の分かる書類を持参して説明した方がよいでしょう。

7/27 銀行、信用保証協会と調整

融資方針を銀行と信用保証協会とで協議して頂き、追加資料などの提示があります。

立ち位置を確認しておきましょう。

創業に関する融資制度は、「創業関連保証」という制度を使うことになり、その保証率は100%です。

つまり、万が一何かあったときには、信用保証協会が100%保証する形となり、信用保証協会に自身の事業計画の適正性などを説明していく形となります。

銀行の立ち位置は、万が一何かあっても信用保証協会が保証してくれている融資になりますので、リスクは低く、ぜひとも進めたい融資となります。

銀行はこちらの味方になってくれる立ち位置になりますので、十分な連携を取りましょう。

7/29 銀行・信用保証協会へ追加資料提出

追加資料を、銀行を通じて、信用保証協会へ提出します。

8/3 融資決定の連絡

銀行より、融資決定の連絡をもらいます。

※今回、長崎商工会議所と信用保証協会の方には、お礼とお詫びの連絡を入れました。。

8/4 銀行にて契約書締結

銀行へ往訪し、書類の押印などを行います。

  • 金銭消費貸借契約書など
  • 印鑑証明書
  • 実印
  • 本人確認書類

8/5 着金

まとめ

申込みから手続完了まで、2ヶ月弱ほどでした。

商工会議所、信用保証協会、銀行など、関係する先が多いため、その分、手続きは多いです。

しかし、無担保無保証、利率1.4%、保証料率0%(長崎市補給)という創業に関して非常によい条件での融資内容です。
※個人でカードローンなどの利率は14%ほどですので、利息の負担は1/10です。

今回、私は、長崎商工会議所相談の段階で、日本政策金融公庫の融資申込みと併用していることを伝え忘れるという点が失敗でした。。
(気づいた段階で、長崎商工会議所、信用保証協会、銀行に連絡を入れました。。)


ここでも、収支計画が重要になってきます。

商工会議所の推薦願い、信用保証協会の保証、といった審査の局面で、しっかり答えうる実現可能性の高い計画でないといけません。

自身で作れないと思う場合、早めに専門家に相談した方がよいでしょう。その場合、専門家とのやり取りの期間をプラスして考えた方がいいと思います。

当事務所でも、創業融資の支援を行っていますので、ご相談はお気軽にどうぞ。


この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次