経営判断をするうえでは、「どこで」「誰と」戦うことになるのかを明確に整理しておく必要があります。
佐藤義典著「売れる会社のすごい仕組み」(青春出版社)を参考として。
事業を前に進めていくための5つの要素
佐藤義典著「売れる会社のすごい仕組み」(青春出版社)のなかで、「戦略BASiCS」として紹介されている戦略の5つの要素について。
- 戦場・競合(Battlefield)
- 独自資源(Asset)
- 強み・差別化(Strength)
- 顧客ターゲット(Customer)
- メッセージ(Selling message)
これらはいわゆる”戦略”や”理論”といわれるものですが、言葉そのものがなんとなくとっつきにくそうですし、実際、これそのものではなかなか効用をなさないものです。
これらをいかに自社の事業に引き寄せ、「具体的に」「一貫性をもって」考えることができるか、というところまで落とし込むことができてはじめて、”自分ごと”として腹落ちし、具体的な事業の行動の指針になり得るものだと思われます。
1)戦場・競合(Battlefield)
お客様は、何かを欲しい・買いたいと思ったとき、それを解決してくれる選択肢を思い浮かべます。
さらにその選択肢を比較し、自分の要望に最も合っていると感じる選択肢に最終決定することになります。
ある意味では当たり前のことでもあるのですが、立場が変わり、売り手という立場になると、意外とそれが分からなくなりがちでもあります。
そう考えてみたときに、まず最初に考えみたいこととして、
「お客様にどのようなときに選択肢として思い浮かべて欲しいか」
「その選択肢群にはどのような競合がいて、その競合は何をどのようにしているのか」
ということになります。
例えば、佐藤義典著「売れる会社のすごい仕組み」(青春出版社)で使われているマクドナルドの例えで考えてみると、
”ハンバーガー店を探す”ときに思い浮かべて欲しいか、
”コーヒーで少しひと休みする場所”というときに思い浮かべて欲しいか、
”手軽な食事店”というときに思い浮かべて欲しいか、
によって、選択肢群(競合)は変わってきます。
モスバーガーやロッテリアなのか、
ドトールやスターバックスなのか、
吉野家なのか。
同じお店・会社でも、競合の動向を見てみようと思ったときに、自社が「どのような価値をお客様に提供するのか」という軸をどこに置くかによって、競合も異なってくることになります。
よって、まずは以下を「具体的に」「一貫性をもって」想定してみる必要があります。
「自社は、どこ(どの分野、どの価値)で戦うのか」
「自社にとっての競合はどこなのか」
売り手目線で考えて逆算していく
「どこで」という場合、単に自社の業種群だけで考えるのではなく、より広く考えておく必要があります。
お客様に届けている「価値」とは、必ずしも商品そのものだけではないからです。
その商品を通して、どのような「価値」をお客様に届けたいのか。
そう捉えると、商品そのものというよりも、「気軽にちょっとひと休みしたい場所」「便利・早い・安い食事がしたい場所」といった価値を届けていることになります。
業種という括りはあくまで売り手側の区切りです。
お客様側からすると、その区切りはまったく別のものになり、そのお客様が考える区切り(価値)から逆算して考えてみる必要があります。
そのため、商品そのものというよりも、商品を通して届けている価値という視点からも十分に考えてみたいところです。