「戦略」と「戦術」は違いが分かりにくいのですが、異なるものです。
これを混同してしまうと、組織のなかの役割分担が曖昧となり、不協和音が生まれることにも繋がりかねません。
竹田陽一、栢野克己著「小さな会社★儲けのルール ランチェスター経営7つの成功戦略」(フォレスト出版)、 竹田陽一著「小さな会社★社長のルール ランチェスター経営成功への実践手法」(フォレスト出版) を参考として。
大企業向けの情報(強者の戦略)に惑わされないようにする
テレビの企業ニュース、新聞、経済誌、セミナーなどは、基本的に大企業向けに作られているものが多いものです。
作り手がまず大企業であることが多いですし、また、大企業が広告宣伝の手段として使っていたりもします。
大企業向けの情報は、ランチェスター戦略でいうところの「強者の戦略」にあたります。
根本的に、中小企業が取るべき「弱者の戦略」とは異なるものです。
中小企業で、世の中に出ている上記のような情報(大企業向けの情報=強者の戦略)をそのまま受け入れてしまうと、そもそも取るべき方策が異なるため、戦略の立て方を誤ってしまうことになります。
従業員を持つことでなんとなく心地よくなってしまいがちですし、また、テレビやマスコミに流れる”社長”のイメージを持ってしまいがちなのですが、中小企業の場合は、大企業の”社長”とは異なるイメージ・役割で考えなくてはいけない、ということは理解しておく必要がありそうです。
「戦略」と「戦術」の違い
社長が何をすべきか、社員に何を役割としてもらうか、管理職を置くべきか・置くとして何を役割としてもらうか、ということを考える上で、そもそも「戦略」と「戦術」の違いを整理しておく必要があります。
”役割分担”を見極める
「戦略」は、経営幹部が行うべきこと、といえます。
一方、「戦術」は、現場社員およびその取りまとめ役(課長、係長)が行うべきこと、ということができます。
もしも、全社的な勝ち方やそのための仕組みづくりを現場社員・課長・係長などにさせているとしたら、それはつまり、経営幹部としての役割を放棄したことになるといえます。
さらには、100名以下の中小企業において”経営幹部”といわれるポジションにあるといえるのは「社長とその後継者」のみです。そこに補佐役を設けているとしたら、「戦略」に対して、人件費をかけ過ぎてしまっている可能性があります。
「戦略」の内容と、それを担うべきは中小企業においては社長ひとりである、ということが分かると、何をすべきか・何を放棄してはいけないのか・逆に何をすべきでないのかが見えてきます。