会社の業績を上げるために、従業員へのインセンティブを考えることは有効な手段ですが、”インセンティブの設定の仕方”には留意が必要です。
竹田陽一著「小さな会社★社長のルール ランチェスター経営成功への実践手法」(フォレスト出版) を参考として。
従業員へのインセンティブ
業績を上げていくためには、従業員の協力が不可欠です。
一方、従業員にとっては、”自身と会社の接点である「給与・賞与」が上がるかどうか”ということが最も大きな関心事のひとつです。
そのため、会社の業績向上に貢献したら粗利の一部を“賞与(報奨金)など”で還元していく仕組みを取ることによって、経営者と従業員が一丸となり、会社全体として邁進していける体制を取ることも可能になってくると考えられます。
つけ方を誤らないための着眼点
インセンティブの設け方においては、誤った方向性を示さないよう留意をする必要があります。
ここでいう”誤った方向性”とは、”会社の業績が悪くなるような方向性”という意味ではなく、端的にいえば「経営者が考えるべきことを、従業員へ丸投げしてしまうこと」を意味しています。
経営者が考えるべきこと、従業員が考えるべきことには、立場の違いから、明確に差があります。
極端な話として、”経営者が担当すべき仕事”を放棄してしまい、その仕事は従業員の役目なのだと投げてしまうようなことになると、うまくいかないことが多い、ということです。
経営を前に進めるためには、以下のように種類分けをすることができます。
そのうち、中小企業の場合には、「目標」や「戦略」を定めることは経営者の役割であって、「戦術」は従業員の役割である、ということができます。
「目標」や「戦略」を定めることを従業員へ転嫁してしまうと、全体としてうまくいかないことが多いのです。
経営の「目標」を定めること
自社の経営規模・経営資源・競合の動向を踏まえて、どこに自社の経営の「目標」を置くか
経営の「戦略」を定めること
自社の経営規模・経営資源・競合の動向を踏まえて、 その目標を達成するための「戦略」
戦略を実行するための「戦術」
戦略を達成するための「実行(戦術)」
”戦略”ではなく、”戦術”に対するインセンティブであるために
従業員へインセンティブを検討する場合には、上記のように、”「戦術」に関すること”である必要があります。
「戦術」とは、”実行”を意味するため、より具体的・超実践的である必要があります。
「従業員へどういう行動をして欲しいか」というところまで、しっかり落とし込んで示す必要があります。
もしそこまで落とし込めない場合は、事前に戦略や方向性や考える基準を示したうえで、行動レベルとしてどのような行動が考えられるかを募る必要があると思います。