電子帳簿保存法とクラウド⑦

電子帳簿保存法については、令和2年度、令和3年度、令和5年度に大きな改正(とその緩和)が入りました。

戸村涼子著「クラウド会計を活用した電子帳簿保存法対応の実務」(日本法令)を参考として。

目次

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法そのものは歴史は比較的古く、平成10年度税制改正によって誕生しています。

ただ、かつては要件が細かく負荷もかかるものであったため、令和3年度税制改正以前は、一部の事業者のみで利用されていたもの、という印象があります。

全事業者の強制適用という形で注目が集まったのは、令和3年度税制改正でした。

電子データで受領している請求書等について、これまでは紙保存が認められていたため、”とりあえず証憑関連はすべて紙保存しておけばよい”という考え方で進むことができていました。

令和3年度税制改正においては、証憑を3区分に分けたうえで、そのうちの電子データについては電子データ保存(+細かな保存要件等)が強制、紙保存不可とされたのでした。

国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」より

令和3年度税制改正の内容については、全事業者強制となる電子データについて、特に保存要件等の充足のための煩雑な対応が求められることもあり、その後の令和4年度税制改正において猶予期間が設けられ令和5年度税制改正において新たな緩和措置が設けられています。

電子帳簿保存法の全体像

電子帳簿保存法の全体像をまとめると、以下のようになります。

電子帳簿保存法とクラウド・クラウド会計との関連性を中心に、どのように対応の余地があるか考えてみました。

「書類の電子保存」と「クラウド会計ソフト」

書類の電子保存の概要

「書類」とは、法人税法で保存が義務付けられている書類をいい、具体的には、以下のようなものをいいます。

また、「自社発行」であり、かつ、「一貫してシステムを使用して作成している」ものとなります。

区分書類
決算関係書類棚卸表
貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書
取引関係書類
(自社発行)
請求書
領収書
見積書
契約書 など

クラウド会計ソフトの対応状況

上記のうち、まずは「貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書」「請求書」「領収書」「見積書」について、クラウド会計ソフト(freee、Moneyforward)が、電子帳簿保存法のうち「帳簿の電子保存」に対応しているかどうか(令和5年4月18日現在)。

freee
MF
  • 会計ソフト内にて「請求書」「領収書」「見積書」の作成が可能
  • 請求書作成すると仕訳が自動生成される
  • 発生と決済が一取引にまとめられる
  • 会計ソフト内にて「貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書」の作成が可能
  • 「ダウンロードの求めに応じる」
    →PDFダウンロード可能
  • 会計ソフトのシリーズソフトにて、「請求書」「領収書」「見積書」の作成が可能
  • 請求書作成すると別途確認・登録することで、仕訳生成
  • 請求書と発生と決済とが別取引と認識される
  • 会計ソフト内にて「貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書」の作成が可能
  • 「ダウンロードの求めに応じる」
    →PDFダウンロード可能

対応ポイント

「貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書」「請求書」「領収書」「見積書」→データ出力し、保管(社内サーバーorクラウドストレージ)

サーバーダウン等のリスクを考えると、freeeファイルボックスなど会計ソフトのストレージ以外のものに別途保存しておくほうがベター。

他の要件も考える

「システムのマニュアル等の備え付け」「見読可能性の確保」などの要件を満たすことが必要ですが、通常、どれも満たすことになります。

事務処理規定

国税庁の以下に事務処理規定のひな形があります。

また、freeeの電子帳簿保存法特設サイト内に、事務処理規定のダウンロードをすることができます。

雑感

クラウド会計ソフト(freee、Moneyforward)にとって、「書類の電子保存」のハードルは低いと考えられます。

リスクヘッジのために、PDFを別途フォルダ保管(ローカルorクラウド)しておいたほうが無難である点は留意かなとは思います。

事業者にとって、証憑はいわば”証拠資料”であるので、それらを一箇所のみに預けることのリスクへの対策は考えておきたいところではあります。

また、ソフトによって操作性・設計思想は異なります。

どちらのソフトの操作性・設計思想が自身に合うかどうかも考えたいところです。





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