売上を増やそうとすると、自分の時間をもっと削るしかない。頑張れば頑張るほど忙しくなり、忙しくなった分だけ売上は増える。
その天井を越えるための「一度作って、何度も売る」という考え方を見ていきます。
事業家bot著「金儲けのレシピ」(実業之日本社)を参考にして。
ビジネスモデルあれこれ
- 集客より関係性、LTVが商売の土台
- 消費者から購入する
- セルフサービス
- スケールメリット、スモールメリット
- 「1対多」
- 両面に課金する
- 砂糖を売る
- 確率を設計する
- 雰囲気を売る
- 意思決定を支援する
- 仕入れを工夫する
- 贈答品を売る
- 高くて良いもの
- 権威になる
- コアファン共鳴型
- 仕組みそのものを売る
なぜ、働くほど苦しくなるのか
まず、多くの事業者が無意識のうちに抱えている、ある構造から見ていきます。
それは、提供するものと、自分が動く時間が、ぴったり一対一で結びついている状態です。
”自分が動かないと回らない”の正体
1人のお客様に対応するために、自分が1時間動く。
2人に対応するなら、2時間。
この働き方は誠実ではありますが、売上の上限がおのずと自分が使える時間の上限で決まってしまうことになります。
1日は24時間しかなく、体力にも限りがあるためです。
飲食店であれば席数に上限があり、混み合う時間帯にしかお客様は来ません。
どれだけ単価を上げても、どれだけ効率化しても、この「1対1」の構造のままでは、いつか必ず頭打ちになります。
1度しか売れないものと、何度も売れるもの
ここで、商売を2つの種類に分けて考えてみます。
- 一度作ったら、一度しか売れないもの
- 一度作れば、何度でも売れるもの
例えば、料理は前者の代表です。
心を込めて一皿を仕上げても、その一皿はお客様一人にしか提供できません。
明日も売りたければ、また1から作り直す必要があります。
一方、後者にあたるものもあります。
例えば一冊の本は、一度書き上げれば、印刷して何千人にも届けられます。
あるいは、ある技術を映像にまとめれば、一度撮影するだけで、何万人もが繰り返し見られます。
同じ”作る”という行為でも、その成果物が一回限りで消えるのか、何度も使い回せるのかで、商売の伸び方はまったく変わってくるのです。

「1を作って、n回売る」という構造
何度も売れる商売には、お金の面でどんなことが起きているのか。
売上が増えても、原価がほとんど増えない
ふつうの商売では、売上を2倍にしようとすると、材料も人手もおおよそ2倍必要になります。
売上と一緒に、原価も比例して膨らんでいくわけです。
ところが、「一度作って何度も売る」構造では、ここが大きく異なります。
最初に作り込むまでは時間も費用もかかるものの、いったん完成してしまえば、それを2人に売っても、1,000人に売っても、追加でかかる費用はほとんど増えません。
ここでいう原価率とは、売上に対して、その商品を提供するためにかかる費用の割合のことです。
売る数が増えるほど、この原価率がどんどん下がっていきます。
つまり、お客様が増えれば増えるほど、一人あたりの利益が厚くなっていく。
これが、自分の時間を切り売りする商売との決定的な違いです。
損益分岐点の、その向こう側
この構造には、越えるべき一本の線があります。
損益分岐点と呼ばれるもので、売上と費用がちょうど釣り合い、利益がゼロになる地点のことです。
最初に作り込むための費用が先に出ていくため、しばらくは、この線の手前にいます。
しかし、売る数がこの線を超えた瞬間から、景色が変わります。
そこから先は、売上が増えてもかかる費用がほとんど増えないため、増えた売上の大半が、そのまま利益として残っていきます。
お金の流れを箱で考えると、わかりやすいかもしれません。
売上の箱が大きくなっても、原価の箱がほとんど膨らまない。
だから、手元に残る利益とお金の箱が、静かに、しかし着実に積み上がっていく。
爆発的ではないけれど、後戻りしにくい強さが、ここにあります。

事業を「1対n」に変える
ここまでは構造の話でした。これを自分の事業にどう当てはめるか、そして見落としてはいけない注意点は何か。
1度作って何度も売れる「型」を探す
例えば、飲食店は、1度作った料理を一度しか売れない、最も1回限りに近い商売です。
ところが現実には、そこから抜け出した例が無数にあります。
看板メニューのレシピを一冊の本にまとめる。
味を冷凍の商品に変えて、全国に届ける。
店のやり方そのものを「仕組み」として整え、他の人に使ってもらう。
同じひと皿のカレーでも、店内で出せば一回限りですが、レシピや冷凍やノウハウに変換した瞬間、何度も売れる商品になります。
様々な事業の中にも、今は自分が毎回ゼロから対応していることのなかに、一度きちんと形にすれば何度も提供できるものが、眠っているかもしれません。
積み上げてきた知識、繰り返し使える資料の型、自分の頭の中にしかない判断の手順。
そのような見えにくい資産を「何度も売れる形」に変換できないか、と考えてみる余地があります。
越えるべき「初期投資の谷」
一度作って何度も売る仕組みは、作り込んでいる間、お金が先に出ていきます。
売上がまだ立たないのに費用だけがかさむ、いわば先行投資の谷が必ず存在します。
この谷を越える前に手元のお金が尽きてしまえば、どれだけ良い仕組みでも、形にする前に終わってしまいます。
新しい仕組みづくりに踏み出すときは、その間の資金繰りに耐えられるかを先に確かめておくことが必要です。
作っただけでは、売れない
もう一つ、忘れてはいけないことがあります。
1度作れば何度も売れる、というのは、あくまで”売れたなら”の話です。
よい仕組みを作っても、それを知ってもらい選んでもらう流れがなければ、一度も売れずに終わってしまいます。
作ることと、届けること。
この二つは別の仕事であり、どちらが欠けても利益にはつながりません。
それでも、自分の時間と引き換えにするのではない、何度も売れる資産を一つでも持てたなら、事業の景色は確実に変わっていくように思います。
小さな一歩が、利益が静かに積み上がっていく構造への入り口になります。
