利益を底上げする入り口は、値上げ以外にもう一つあります。 それが「仕入れ」です。
仕入れは、外から見えにくい。 だからこそ、ライバルに真似されにくい強みになります。
事業家bot著「金儲けのレシピ」(実業之日本社)を参考にして。
ビジネスモデルあれこれ
- 集客より関係性、LTVが商売の土台
- 消費者から購入する
- セルフサービス
- スケールメリット、スモールメリット
- 「1対多」
- 両面に課金する
- 砂糖を売る
- 確率を設計する
- 雰囲気を売る
- 意思決定を支援する
- 仕入れを工夫する
- 贈答品を売る
- 高くて良いもの
- 権威になる
- コアファン共鳴型
- 仕組みそのものを売る
会社の利益には、2つの入り口がある
まず、利益がどこから生まれるのか。
利益を生む「2つの蛇口」
利益は、ざっくり言えば「売上から費用を引いたもの」です。
ということは、利益を増やす蛇口は二つあります。
1つは、売値を上げて売上そのものを増やすこと。
もう1つは、仕入れ(原価)を下げて費用を減らすことです。
どちらの蛇口をひねっても、出てくる利益は同じだけ増えます。
ところが多くは、なぜか前者の蛇口ばかりを見つめてしまいます。
「安く仕入れて普通に売る」型と、「普通に仕入れて高く売る」型
ビジネスを大きく二つに分けてみると、この二つの蛇口がそのまま見えてきます。
1つは、「安く仕入れて、普通の値段で売る」タイプ。
もう1つは、「普通に仕入れて、高く売る」タイプです。
前者は、仕入れ側に強みを持っています。
同じ品を、人より安く・人より良い条件で手に入れられる会社です。
後者は、売り方や見せ方に強みを持っています。
同じような品でも、ブランドや体験の力で高く売れる会社です。
つまり、この2つは「強みのありか」がまったく違うということです。
なぜ私たちは、売値ばかり見てしまうのか
売値は、毎日のように目に入ります。
値札も、見積書も、競合の価格も、つねに視界の中にあります。
一方で仕入れ条件は、いったん決まると、よほど意識しない限り見直す機会がありません。
つまり、売値は、考えやすく、そして、人は考えやすいほうから手をつけます。
ただ、あえて見落とされがちな仕入れ側に光を当てると、競合がまだ手をつけていない余地が見つかることがあります。

なぜ「高く売る」は真似され、「安く仕入れる」は真似されにくいのか
2つの入り口があると分かったところで、次に大事なのは「どちらの強みが長持ちするか」。
ここに、見落とされがちな非対称性があります。
成功は、見えるほど真似される
高く売って成功している会社は、外からよく見えます。
立派な店構え、強気の価格、プレミアムなブランド。
これらは隠しようがなく、むしろ積極的に見せています。
すると何が起きるか。 「あの値段で利益が出るなら、うちもやれるはずだ」と考える同業者が、続々と参入してきます。
うまくいっている高売りビジネスほど、その成功が公然の事実になり、競争を呼び込みやすいものです。
見える強みは、見えるがゆえに、模倣の標的になります。
見えない優位は、長く効く
これに対して、安く仕入れている会社は、なぜ安く仕入れられているのかが外から分かりません。
どこから、いくらで、どんな条件で仕入れているか。 これは普通、表には出てきません。
真似しようにも、何を真似すればいいのかが見えない。 だから、この優位はなかなか崩れず、長く効き続けます。
同じ「強み」でも、見える場所にあるか、見えない場所にあるかで、寿命がまるで違うということです。
ただし「見えない」ことには、裏の顔もある
見えない強みは真似されにくい一方で、顧客からも見えません。
真似されにくいということは、お客様に「だからこの会社を選ぼう」と思わせる材料にはなりにくい、ということでもあります。

仕入れで優位を作る、2つの道
では、見えない強みである「仕入れの優位」は、どうやって作るのか。
まとめて買う—量がもたらす交渉力
1つめは、量でまとめる道です。
大量に、しかも継続的に仕入れる会社は、仕入れ先にとって上得意客になります。
上得意客には、良い条件や良い品が、優先的に回ってきやすくなります。
これはもちろん、資金力があってこそ成り立つ前提つきの手法です。
まとめて買うには、まとめて払えるだけの体力が要ります。
量の勝負では、もともと体力のある大きな会社が有利です。
中小企業が単価の叩き合いに持ち込むと、かえって不利な土俵で戦うことになりかねません。
関係で深める——「この相手なら」と思ってもらう
2つめは、関係で深める道です。
仕入れ先と信頼関係を築き、「この相手はよく分かってくれている」と思ってもらえる客になる。
そうなると、表には出てこない良い品や、特別な条件が、自然と回ってくるようになります。
なじみの店を思い浮かべると分かりやすいかもしれません。
長く通い、相手のこともよく知っている常連には、店主はとっておきの一品をそっと取っておいてくれることがあります。
これは、価格を叩いたからではありません。
”この人になら出したい”と思われているから、です。
近江商人の「三方よし」という言葉があります。
売り手よし、買い手よし、世間よし。
仕入れ先との関係も、結局は相手の利益まで考えられる買い手であってこそ、長く良い品が回ってくる、ということなのだと思います。
中小企業は「叩く」より「組む」
ここまでをまとめると、中小企業が取るべき道は見えてきます。
量で押すより、関係で深める。
価格を叩くより、相手と組む。
仕入れ単価を1円でも下げる交渉も大切ですが、
それ以上に、「優先的に良い品を、良い条件で回してもらえる関係」を築くほうが、中小企業には効きやすいといえそうです。
そしてこの関係は、外からはまったく見えません。
だからこそ、真似されない強みになります。
見えない一手は、粗利と資金繰りの両方に効く
仕入れの優位は、なんとなく「コストが下がって得をする」だけの話ではありません。
利益とお金の、両方に効いてきます。
仕入れは「粗利」を動かす
仕入れを改善すると、まず粗利が動きます。
粗利とは、売上から仕入れ・原価を引いた、いちばん根っこの利益のことです。
売値が同じでも、仕入れが安くなれば、その差はまるごと粗利の増加になります。
しかも、この効果は、外からは見えません。
お客様には今までどおりの値段で売りながら、手元に残る利益だけが静かに厚くなっていきます。
値上げのように顧客を驚かせることなく、利益体質を変えられるわけです。
支払い条件は「手元のお金」を動かす
仕入れで動くのは、利益だけではありません。
支払い条件、つまり仕入れ代金を払うまでの猶予の長さも、見直す価値があります。
仮に同じ単価でも、支払いまでの期間が延びれば、その間お金は手元に残ります。
利益の額は変わらなくても、手元のお金の余裕は変わるということです。
利益が出ているのにお金が苦しい、という事態は珍しくありません。
その多くは、お金が入ってくる前に出ていってしまう、このタイミングのずれが原因なのですが、仕入れの支払い条件を整えることは、利益とは別のところで、資金繰りをじわりと楽にしてくれます。
でも、見えない強みだけでは選ばれない
見えない強みは、真似されにくい代わりに、お客様からも見えません。
仕入れがどれだけ巧みでも、それ自体が「この会社で買おう」という理由にはなりにくいのです。
だから、見えない強み一本だけで戦うのは、おそらく片手落ちです。
お客様に選ばれるための、見える強み(ブランドや、接客や、体験の質)も、同時に育てておく必要はあります。
見えない仕入れの優位で利益とお金の土台を固め、見えるブランドの力で選ばれる理由を作る。
あくまでこの両輪がそろってはじめて、強くて、しかも崩れにくい会社になるのだと考えられます。
あなたの会社の「外から見えない強み」を棚卸しする
見えない強みは、意識しないと気づけない
外から見えない強みは、当の本人にとっても、見えにくいものです。
毎日あたりまえに使っている仕入れルートや、長年かけて築いた取引先との関係。
それらは空気のように当然になっていて、「これがうちの武器だ」と意識されないまま埋もれていることがよくあります。
まずは、その埋もれた武器を、いったん表に出してみることから始めます。
棚卸しのための5つの問い
- 他社が簡単には使えない仕入れルートや取引先を持っているか
- 長年の付き合いで、特別に良い品や条件を回してもらえる相手がいるか
- 社内にしか蓄積されていない独自のデータや記録があるか
- ベテランの手の中にある、言葉になりにくい技術や勘があるか
- お客様との間に、他社が入り込みにくい信頼関係が築けているか
1つでも当てはまれば、それはあなたの会社の、外から見えない財産となります。
真似されない強みは、見えない場所にある
利益を増やしたいとき、まずは値上げという見える一手に手が伸びます。
けれども、もう一つの見えない一手(仕入れと、その背後にある関係性)には、真似されにくく、利益とお金の両方に効くという、静かな力があります。

