銀行融資においては、会社借入の際に、経営者が連帯保証人となることを要求する場合がほとんどです。そもそもそれはなぜなのか。
川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)を参考として。
連帯保証人と保証人の違い
そもそも、連帯保証人と保証人はどう違うのかという点、以下の2点が異なるといわれています。
- 催促の抗弁権
- 検索の抗弁権
例えば、会社が銀行融資を受けようとするとき、メインの債務者は会社ですが、経営者個人が連帯保証人になっている場合、銀行は、特に手続きを踏むことなく、いきなり経営者個人に返済を迫ることもできる、ということになります。
第三者の連帯保証→要求されない流れ
銀行融資において、経営者本人が会社の連帯保証人になるよう要求されることが多いです。
一方で、第三者が会社の連帯保証人になるよう要求されることはほとんどなくなっています。
これは、以下の中小企業庁や金融庁からの指針の発表によるものとされています。
上記いずれも、経営者本人以外の第三者を保証人として求めることを原則禁止とするものです。
上記指針発表以降、会社に第三者の保証が求められるケースはほぼなくなっています。
経営者の連帯保証→なぜ求められるのか
一方で、経営者への連帯保証は求められる場合がほとんどです。
銀行が求める理由について、川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)より、3点が挙げられています。
- 銀行が融資しやすくなるため
→実績の少ない会社へも、銀行が安心して融資をすることができるようにするため。 - モラルハザードを防ぐため
→会社の財産を個人に移してしまいさえすれば、融資を踏み倒しても構わないと考えることを防ぐため。 - 経営者本人へ自覚・責任を持たせるため
→会社の財務内容へ、経営者本人に自覚と責任を持たせるため。
金融庁の監督指針改正案(2022年11月1日発表)
2022年11月、以下のような報道がされています。
金融庁において、2023年度より、この経営者保証という慣行が見直される方針です。
経営者保証について事実上の制限をかけるもので、金融機関は、経営者本人に、なぜ経営者保証を求めるのかについて理由を説明する義務を課し、その説明の記録を金融庁に報告しなければならないというものです。
これによって、プロパー融資においては、経営者保証が当然、という流れが変わることが見込まれます。
一方で、保証付融資の保証を行う信用保証協会を管轄する中小企業庁においても議論が開始されています。
財務書類を金融機関にきちんと提出しており、役員借入金がなかったりすれば、保証料上乗せによって、経営者保証を不要にできる方向で進んでいるようです。