AI活用の差は、「仕事のレシピを思い浮かべられるか」で生まれる

Claude CodeやCodexなどのAIを導入しても、使いこなせる人と使いにくそうにしている人に分かれることがあります。スタッフに話を聞いてみると、差を生んでいるのは操作の慣れよりも、目の前の業務を「どう仕上げるか」を思い浮かべられるかどうかのようでした。料理にたとえるなら、食材を前にして、できあがりの料理と調理の手順を思い浮かべられるかどうか。
この「レシピを思い浮かべられるか」という視点は、AIへの指示の出しやすさだけでなく、スタッフへの展開の進め方にも関わると感じています。

目次

業務を食材に見立てると、指示の正体が見えてくる

食材を前に、できあがりを思い浮かべる

食材を前にしたとき、できあがった料理の姿と、そこへ至る手順を思い浮かべられる人は、調理に迷いにくいものです。

業務も同じで、目の前のタスクが食材、仕上がりの姿が完成した料理、進め方がレシピにあたります。

AIへの指示は、このレシピを言葉にして渡す作業と言い換えられます。

完成形も手順も頭にあれば、指示は自然と具体的になります。

逆に、どちらかが曖昧なままだと、AIにとっても手がかりが少なく、的を絞りにくくなると考えられます。

人に仕事を依頼するときも、「何を、どの状態まで、どう進めるか」が伝わらなければ思った結果にならないのと同じ構造です。

スタッフの「どうすればいいか分からない」

使いにくそうにしているスタッフに話を聞くと、タスクを前にして「これをどうすればいいか」が分からず、さらに「それをどう言語化すればいいか」も分からないという答えでした。

ひとつの悩みのように聞こえますが、整理してみると、性質の異なる詰まりが混ざっています。

食材(目の前の業務)、完成した料理(完成形)、レシピ(進め方・手順)、味見(結果の確認)の4つを矢印でつなぎ、仕事の指示はレシピを渡すことだと示した図

「分からない」は3つの種類に分けられる

スタッフの話を整理すると、詰まりは次の3つに分けられ、いずれの場面もありました。

どの詰まりなのかによって、有効な手助けも変わってきます。

詰まりの種類中身料理で言うと
完成形が見えない何ができあがれば終わりなのか分からない何を作るのか決まっていない
手順が見えない完成形は分かるが、進め方が分からない作りたい料理はあるが、レシピが分からない
言葉にできない頭には浮かんでいるが、指示の文章にならない味は想像できるのに、注文として伝えられない
「分からない」を完成形が見えない・手順が見えない・言葉にできないの3つに分け、それぞれに完成見本を見せる・AIと手順を考える・対話で言葉を整えるという手助けを対応させた図

完成形が見えないときは、完成見本を見せる

何ができあがれば終わりなのかが分からないときは、「前回の成果物(完成見本)を見せること」に効果がありました。

完成した料理を先に見せてもらえれば、何を目指して手を動かせばよいかが伝わります。

言葉では説明しにくい仕上がりのイメージも、見本があれば共有しやすくなります。

手順が見えないときは、AIに聞きながら進める

完成形は分かっていても進め方が分からないときは、AIに聞きながら進める方法が有効でした。

最初から手順をすべて決めておく必要はなく、「この仕事はどう進めればよいか」をAIに尋ねるところから始められます。

レシピを自分で描けなくても、AIと一緒にレシピを作っていけるということです。

言葉にできないときは、やり取りの中で言葉を整える

スタッフからは、AIにどう接していいか分からない様子も見られました。

指示の文章を最初から完成させようとすると、言葉にできないことの負担が大きく感じられると思われます。

AIに聞きながら進める形であれば、やり取りの中で少しずつ言葉が整っていくため、負担が軽くなると考えられます。

どの詰まりかは、完成形から順に確かめる

どの詰まりなのかを見分けるには、「何ができあがれば終わりか」「どう進めるか」「それを言葉にできるか」の順に確かめていく方法が考えられます。

手前の段階が曖昧なままだと、後ろの段階をいくら整えても進みにくいためです。

完成形が見えていない場合は、指示の言葉を磨くよりも先に、完成の姿を揃えるほうが近道になると思われます。

スタッフへの展開は、レシピを一緒に思い浮かべるところから

操作方法の前に、完成形を共有する

AIのスタッフ展開というと、操作方法の研修を思い浮かべがちです。

ただ、スタッフの話を聞く限り、先に必要なのは完成形の共有で、前回の成果物を見せることが入口になりそうです。

操作は、完成形が見えていれば後から覚えていけるものと考えてもよさそうです。

完成見本を見せる、AIに聞きながら進める、結果を見て直すの3段階を対話と確認の繰り返しでつなぎ、操作を教える前に完成形を共有することを示した図

出てきた結果を見て「これは違う」と気づく目

AIが出した結果を見て「これは違う」と気づけるかどうかも、料理に通じる部分です。

味見をして塩加減の違いに気づけるのは、あるべき味を知っているからです。

業務の経験が長い人の目は、AIの出した結果を確かめる場面で力を発揮すると考えられます。

レシピが描けなくても、AIは使える

レシピを思い浮かべられないスタッフが、AIを使えないというわけではありません。

AIに聞きながら進めれば、レシピそのものをAIと一緒に作っていけるからです。

完成形を言葉にするのは誰にとっても難しいことなので、最初から上手にできなくても問題はないと思われます。

AIのスタッフ展開は、操作を教えることよりも、完成形とレシピを一緒に思い浮かべる機会を作ることからと考えると進めやすくなりそうに感じています。

焼き色のついたチーズケーキにナイフを入れている手元の写真

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この記事を書いた人

長崎で活動する
税理士、キャッシュフローコーチ

酒井寛志税理士事務所/税理士
㈱アンジェラス通り会計事務所/代表取締役

Gemini・ChatGPT・Claudeなど
×GoogleWorkspace×クラウド会計ソフトfreeeの活用法を研究する一方、
税務・資金繰り・マーケティングから
ガジェット・おすすめイベントまで、
税理士の視点で幅広く情報発信中

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